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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回・伍】スノー・スマイル

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「…目を閉じていては探せないだろうが!! たわけ!」
迦楼羅の声に南が目を開けると眼下に広がるわが町【正月町】
「たっけぇ…;」
雪が降っているせいか人通りがいつもより少ないメインストリート
信号待ちをしている車
学校、港、公園、畑や田んぼ、果樹園、自宅…いつも見ていて飽き飽きしていた風景でも見方を変えるだけでこうも新鮮味が増すものなのだろうか
「…すげ…結構広いんだな…この町も」
南が小さく呟いた
「あ!! 京助!!」
栄野神社に続く坂を下り公園方面に続く道を小走りな速度で動いている京助らしい生き物を南が見つけた

「…誰かコイツにビックライトでも使ったんか?」
自分とあまり身長が変わらない迦楼羅を見て京助が地面に尻をついたまま南を見上げて聞く
「驚いたか」
迦楼羅が何気に勝ち誇ったように言う
「ハイハイ驚きました驚きました」
京助が立ち上がり尻についた雪を払いながら言った
「で…見つかったのか?」
京助が聞くと迦楼羅が南と京助の手を掴んだ
「これから探しにいくんだ」
南が空を指差す
「…俺も?;」
京助が自分を指差して【まさかよ】的顔をすると南が親指を立てて満面の笑みを返してきた
「お前しか実物を見ていないのだろう?」
京助が頷こうとした瞬間再び強風で雪が舞い上がった
「しかしまぁよく乾闥婆(けんだっぱ)が許してくれたよな」
京助が下を見下ろしながら言った
「…隠れて来た」
迦楼羅がボソッと呟くと南が両手を合わせて合掌した
「なっ…; またかよ…後が怖いんじゃねぇ?;」
左側に抱えられた京助が迦楼羅を見て言う
「血の海…のーぉ; ナンマンダブナンマンダブ…;」
南が何を想像したのか右側でお経を唱え始めた
「…お前等…; …乾闥婆は妖怪かその類ではないぞ? あやつはワシをただ心配しているだけなのだ…昔の出来事に縛られてな」
迦楼羅が言う
「…昔って…何? 何かあったの?」
南がまるで噂好きの近所のマダムのごとく目を輝かせて迦楼羅に聞く
「…昔のことだ…もう遥か昔…ホラ! しっかり探さんか!」
一瞬悲しそうな目をした迦楼羅だったがその後二人に向かって怒鳴った

「…言葉のごとく飛んで行っちゃったナァ…」
迦楼羅(かるら)の飛び去った方角を見て坂田が言う
「俺らも地道に探しますか?」
浜本が坂田の隣に立って言うと坂田が後ろを振り返った
「そうだねココにこうやっていても仕方ないし…」
阿部が言うと本間と中島が頷いた
「…緊ちゃん?」
悠助が緊那羅の名前を呼ぶと一同が緊那羅を見る
「ちょ…どうしたよ緊那羅!!;」
しゃがみこんでいる緊那羅に坂田と中島が駆け寄る
「さ…寒い…っちゃ…;」
摩訶不思議服だけの緊那羅が体をさすって震えていた
「緊ちゃん大丈夫!?」
悠助が緊那羅を抱きしめて暖めようとするがなにぶん小さくて用が足りない
「浜本」
本間が浜本を呼んだ
「何? …ア~レ~;」
近づいてきた浜本からマフラーを奪い取るとそれを緊那羅にかけた
「…ありがとだっちゃ;」
緊那羅の唇が紫色になってきている
「本当寒さに弱いんだなお前;」
中島が自分のジャケットを脱いで緊那羅にかける
「寒いの苦手なのに何でわざわざ出向くかね」
坂田も自分の上着を緊那羅にかけた
「だっ…て京助が…心配だったんだっちゃ」
悠助の腕の中で緊那羅が眉を下げて微笑んだ
「京助と悠助は…私が守らないと…」
「だから自分はどうでもいいんですか?」