ひとりぼっちの魔術師 *紅の輝石*
-やっと逢えたね…。僕はこれでもう、充分なんだ。-
先端まで連れて行こうとする影を。
君を含めたその場に居る全てを。
肩に付いた埃を払うかのように。
単純作業として。
僕は、新しい時間と空間を求めて。
記憶の本を自分で閉じて、その場を後にした。
-僕は君をまだ信じていたかったから。
思い出として、大切に取っておきたかったんだ。-
太陽は強く僕の背中を押して、新しい世界への扉を開いていた。
まだ見えない真実にも気が付かない僕を。
いやらしく笑いながら…。
作品名:ひとりぼっちの魔術師 *紅の輝石* 作家名:くぼくろ