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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回・四】履くモノ・履かれるモノ

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物置の外に出ると降り続いていた雪が結構いい具合に積もっていて悠助と女子2人が雪玉を転がして雪だるまを作ろうとしている
「積もるの早ぇえなぁ;」
その光景を横目に男一同はギュイギュイと鳴く雪に足跡を付け庭に向かう
「…なぁ…」
南が前を歩く矜羯羅の足元を見て声を掛けた
「何?」
矜羯羅が足を止める
「足…真っ赤ですが」
南の言葉に傍を歩いていた坂田と京助が矜羯羅の足元を見た
「…今時期にこんなズッパみたいなヤツじゃなぁ;寒くねぇのか?」

【解説しよう。【ズッパ】とは【スリッパ】、【サンダル】系の履物を指す用語で靴の踵を潰して履く履き方のこともたまにこ
う言うのである】

坂田が聞くと矜羯羅が片足を上げて
「冷たいといえば冷たいよ? 感覚ないし」
と言った
「でもまぁ我慢できない程度じゃないし」
そう言うとにっこり笑う
「アカギレるぞ?;」
京助がしゃがんで矜羯羅の足に手を置いた
「うっわ冷てぇ!;」
「どれどれ…おぉ! 氷じゃん!;」
坂田と南も矜羯羅の足を触って言った
「…僕の足に群れないでくれる?」
矜羯羅が見下ろして言う
「京助靴下か何か貸してやれば?」
南が立ち上がり京助に提案した
「…靴下ねぇ…」
京助が矜羯羅の足を見て顎に手をやりながら言う
「…あの京助」
後ろにいた緊那羅が京助に声を掛けた
「ハイ! ソコ! 発言は手を上げて!」
南が緊那羅に向かって言うと緊那羅が半ば呆れ加減で手を上げた
「ハイき…んな羊子さん」
坂田がソレを緊那羅ではなく羊子として指名した
「……靴下って靴の上にはいてるのにどうして靴下って言うんだっちゃ?」
少しの間坂田をジトッと見ていた緊那羅が京助に聞いた
「くつ…の上…」
南と坂田そして京助それにつられてか矜羯羅まで各々の足元を見る
「ソレは…」
「それは…」
「…そーれーはー」
京助、坂田、南の三人がかわるがわる【それは】を言いそして
「…なんでだっちゃ?」
緊那羅のその一言に揃って回れ右をして歩き出した