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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回・四】履くモノ・履かれるモノ

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ストーブを小脇に抱えて制多迦が廊下を歩く
「お前力あるんだな~すげぇな」
ソレを中島が褒め称えると制多迦がにっこり微笑んだ
「薪ストーブどかしてあるからソコに置いてくれ。お前はこっち」
茶の間の方に向かおうとしていた矜羯羅の布をチョイと引っ張って京助が隣の和室に入る
襖を開けると茶の間に繋がっていて制多迦と中島が見えた
「そうそうそこに置いてくれ。雪の元雪の元…めっけ~」
京助が制多迦に指示しながら引き出しから雪の元を取り出し矜羯羅のいる和室に向かった
「…変わった着物だよね…」
干してあった洗濯物を矜羯羅が引っ張って言う
「俺らからすればそれが普通の着物! お前等の着てる物の方が変わってる着物なんだっつーの; ホラ! 座って足出せ」
京助が先に座って矜羯羅に言うと膝をつき矜羯羅が京助に向かって足を出した
「…流血してるじゃん; 中島ーティッシュ取ってくれ」
茶の間で制多迦とストーブのガタつきを調整していた中島がテレビの上にあったティッシュの箱を京助めがけて放り投げる

「血…赤いんだな」
京助が呟いた
「…一応ねがっかりした?」
目を細めて矜羯羅か笑う
「いんや…俺らと同じなんだナァと安心いたしやした」
京助が血を拭いたティッシュを丸めて横に置いて雪の元の蓋を開けた
「着る物とか何だかんだ違っても血の色は一緒だったし生きてるんだなぁと」
矜羯羅の踵に雪の元を塗りながら京助が言う
「面白いこというよね…京助は…だから用がなくても来たくなるのかもしれない…」
雪の元を塗られた自分の踵を矜羯羅が撫でた
「悠助と京助に僕らは何かを求めているのかもしれないね…今までを変える何かを」
矜羯羅が制多迦に目を向けると制多迦が中島に何かを教えたれていた
「君達になら制多迦を…僕らを…」
「…矜羯羅…?」
顔をゆがめた矜羯羅に京助が小さく呼びかけた
「…これ以上言うと迦楼羅に怒られるね」
矜羯羅が立ち上がり歩き出す
「ちょ…待てって矜羯羅;」
京助が慌てて声を掛けるも矜羯羅はそのまま廊下に出て

ズルッ
ドタ--------ン!!