小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【第五回・参】ヘリカメ様

INDEX|5ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

【カメムシ(別称・ヘリカメ、ヘッタレプップ等)】…晩秋に大量に家の中に入ってきて、いやな臭いを出す。 (マルカメムシ、クサギカメムシなどがよく見られる)普段は樹木や雑草に付き、樹液や草の汁を吸っている。家まわりの雑草に付く種類に問題となるものが多い。
冬の寒さの厳しい地方 (東北、北海道など)で、特に被害が大きい。

ゴキブリが出ない北海道にとってのゴキブリレベル的害虫扱いを受けるヘリカメ
上記にもある様に秋から冬にかけて出現するヘリカメ
掃除機で吸ったら後がくさいヘリカメ
潰すと余計くさいヘリカメ
死んだ後も触るとくさいヘリカメ
そんなヘリカメが阿部の肩に止まった
それに気づいたミヨコがそぉ~っと阿部から離れてマイ・ダーリンとなったハルの後ろに隠れると
「あ…阿部…肩…」
小さく言って阿部の肩を指差した
「肩?」
阿部が初めは左肩を見て次に右肩を見て…
固まった
阿部を中心に生徒がサークルを描くように後ずさる
阿部の肩に蠢く茶色くい2センチほどの悪魔…いや魔王…いやいや邪神
「…ぃ」
涙目になりながら何かを言おうとしているが声にならないらしく只右肩を指差して助けを求める阿部
「騒ぐなよ?;」
京助が掃き掃除の為に下げられた机をガタガタ動かし自分の机の中からガムテープを取り出した
「行け!! 勇者!」
ミヨコを後ろに庇いながらハルが何処となく偉そうに京助に言う
「そう言うお前が取れよお前が;…後からガムテープ代全員からもらうぞ? ったく…」
生徒が見守る中京助が少し長めに切ったガムテープをそっと阿部の肩につけてゆっくりはがすとソコには仰向けになり足をバタバタさせるヘリカメがくっついていた
ソレを潰さないよう器用に周りだけをくっつけてガムテープにへリカメを閉じ込めると中島の持っていた【二階廊下】のゴミ箱に投げ入れる
「あっ!; ばっかお前臭せぇじゃんか;」
中島がゴミ箱の中を見て言った
邪神( ヘリカメ)が (ガムテープに)封印され教室中に和やかムードが戻る
「しかしお前よく平気だよナァ…」
南が倒れた箒を拾う京助に言った
「只の虫だろうが」
手首にガムテープをはめて拾い上げた箒の柄で肩をトントン叩きながら京助が言う
「臭いだろうヘリカメ。ソレが嫌なんだよヘリカメ」
坂田が京助をイチイチ押しながら言った
「匂いついたらなかなか取れないしさぁ…最悪最低。飛ぶし臭いしキモいしの三本立てだぞ?」
南が指を三本立てて京助の前に出す
「何にもしなきゃ臭くもなんともないだろー?無意味に騒ぐからだろうが…;」
京助が南を指差して言った
「アレ見て騒がない奴の方がおかしいって」
京助の指に自分の指を合わせてE.Tの名場面をやりながら南が言う
そんな3馬鹿と京助のやり取りを黒板消しを持ったまま阿部が黙って見ていた

「きょうすけぇ~…」
家に帰って着替えている京助の部屋の戸が少しだけ開いて半泣きの悠助の声が聞こえた
「…出たのか?」
トレーナーの首元に顔を引っ掛けたまま京助が振り返ると悠助が目をこすって頷いた
「今行くから…ってガムテープ学校だ;」
トレーナーから頭を出して裾を軽く直して京助が部屋から出る
「茶の間にいるの~;」
悠助が京助を見上げて言った
「緊那羅は?」
そう言いつつ茶の間に入ると緊那羅が立ったまま部屋を見回している
「…何してんだお前…ウチに温風器なんざねぇぞ?」
京助が声をかけると緊那羅が振り向く
「ブーンって…聞こえて…そしたら悠助がいきなり部屋から出ていったんだっちゃ…って悠助?」
おそるおそる部屋に入ってきた悠助が京助のトレーナーを掴んで部屋を見渡した
「…どうしたんだっちゃ悠助?」
緊那羅(きんなら)がしゃがんで悠助に聞いた
「ヘリカメが出たんだとさ」
京助が部屋を見渡しながら言った
「ヘリカメ?」
緊那羅が首をかしげる
「そ。さっきのブーンってのはヘリカメの飛んでる音だったんだろうよ」
一通り部屋を見回して京助が悠助の頭を撫でる
「なんだっちゃ? その…へーなんとかって」
緊那羅が聞いてきた
「ヘリカメは臭いんだよそして嫌なの」
悠助が答える
「…臭い? 京助の屁より?」
緊那羅が悠助に聞くと悠助が少し考えてから頷いた
「…俺の麗しき屁とヘリカメを一緒にするなよな;」
京助が緊那羅の頭を軽く叩く

ブー…ン…

部屋の何処からか音が聞こえてきた
「音はせども姿は見えずってかぁ?」
京助が部屋中を見渡す
「そんなに嫌な物なんだっちゃ?」
悠助のあまりの脅え様に緊那羅が京助に聞いた
「俺はそんなんでもないんだけどな…嫌なヤツにとっちゃ嫌なんだろうさ」
悠助が京助に思いっきり身を寄せて天井を黙って見る

ブー…ン…コツン…

何かに当たった音がした
「この部屋ん中にいるってのは間違いないだろうな~…お?」
京助が何かを見つけて腰に悠助をつけたまま歩き出した
「めっけ~…ってかあるじゃんガムテープ…;」
新聞紙が畳んで入れてある袋の横に立てておいてあったガムテープを拾い上げて京助が言う
「あったところに戻して置けよな~ったく;母さんも人のこと言えないじゃん…」
ブツブツいいながらガムテープを15センチくらい伸ばして切った
「どうするんだっちゃ?」
緊那羅が切ったガムテープを見て聞く
「コレでヘリカメを封印するんだ」

ブーン…

しばらく音がしなかったのはどこかに止まっていたからなのだろうかそれとも【コツン】とどこかに当たって気を失っていたからなのだろうか
またも聞こえ出した音に京助、緊那羅、悠助の三人が部屋を見渡していると
「お邪魔します。きょ…」