【第五回・弐】中島君家の家庭の二乗
「…俺の部屋は不思議なポケットですかい…;」
六畳の部屋に新たな顔が四人…と二匹
「どうしてこう部屋の戸を開けるたびに人数増加してんだよこの部屋は…ってか狭いだろ;」
京助が部屋に入って戸を閉める
「本当…狭いね」
窓の傍に立っている矜羯羅が溜息混じりに言った
「なら帰ったらどうですか?」
間髪いれず笑顔で乾闥婆が言う
「ハイハイハイハイ~!!; …んでお前等は何の用できたんだよ」
また毒舌バトルが開戦しそうな勢いだった乾闥婆と矜羯羅を止める意味も込めて京助が仕切りの合図で手を叩き増加した四人に聞いた
「別に? 暇だったから」
矜羯羅がにっこり笑う
「…僕等は…」
乾闥婆がチラリと迦楼羅を見た
制多迦の膝の上に座っている悠助が広げた教科書を覗き込んでいた迦楼羅が乾闥婆の視線を感じて顔を上げそしてわざとらしく顔をそらした
「…鳥類のわがままですか」
南が笑いながら言った
「ようは特に用はないんだけどぉ~ってヤツですな」
坂田が言うと
「まぁそうだね」
矜羯羅が言った
「…俺ん家は溜まり場かよ;」
京助が戸の近くに腰を下ろし溜息をつく
「二酸化炭素充満しますな」
坂田がコマを抱き上げる
「どうせだからヒマ子さんも呼べば? 植物だから二酸化炭素吸収してくれるぞ?」
南がニヤニヤして京助に言うと京助が傍にあった丸めたタオルを南めがけて投げつけた
作品名:【第五回・弐】中島君家の家庭の二乗 作家名:島原あゆむ