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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回・弐】中島君家の家庭の二乗

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緑色でほんのり柚子の香りのする湯船でボケッとしていた京助の耳に悠助の声と聞こえるはずのない声が微かに聞こえた夕食後のまったりタイム
気のせいだと思い口まで湯船に浸かりぶくぶくと空気を吐き出した
「京助-」
ガラッと風呂の戸が開けられ湯気が一気に外に流れた
「…何だよ;」
まだ湯気でよく見えないが声でソレが悠助だとわかった
「中島が来てるよ?」
悠助の声が響く
「中島? こんな時間に?」
京助が湯船の中で膝を立てて身を乗り出して悠助に聞いた
「うん~なんかねおっきな鞄持ってきてるけど…どうする?」
「…おっきな鞄…ねぇ…;…まぁいいやすぐ上がるから部屋に行ってろって言ってくれ」
そう言うと京助はと浴槽の淵に手をついて湯船から出た
タオルでガシガシと頭を拭きながら廊下を歩いていると緊那羅が京助の部屋から出てきた
「京助」
名前を呼ばれて京助が片手を上げると緊那羅が小走りで京助に近づいてきた
「中島…」
京助と歩幅をあわせて並んで歩きながら緊那羅が言った
「知ってる 悠から聞いた…けど何の用だ?」
京助がタオルを首にかけて自室の前で止まって緊那羅に聞く
「私もわからないっちゃ…ただ…」
緊那羅が苦笑いを浮かべる
「…ただ?」
そんな緊那羅の表情に首をかしげながら京助が聞き返す
「若干…人数が…」
「人数?」
緊那羅の言葉を最後まで聞かずに京助は自室の戸を開けた

「…何してんだお前等」
室内にはいつもの面々が京助の顔を見るなりチャっと片手を上げて笑顔を向けた
「俺は中島が来たって事しか聞いてねぇんですが緊那羅さん」
京助が勢いよく自室の戸を閉めて廊下にいる緊那羅に言う
「いや…始めは中島だけだったんだっちゃけど…;」
「君が優雅にバスタイム満喫してるときに俺と坂田が参上仕ったワケでございますよ」
閉められた戸を少し開けて南が言った
「仕るな;」
京助が振り返って南に言う
「ってか風呂くらいゆっくり入らせろ;」
部屋に入りながら京助が3馬鹿に向かって言った
「…で? 何なんだよこんな時間に」
畳んだだけの布団に寄りかかって京助が言うと中島が身を起した
「コイツ家出してきたんだってさ」
中島が何か言おうとした矢先に南が中島の傍にあったドラムバックをポフポフと叩いて言った
「…はぁ?;」
緊那羅と京助が揃って声を上げる
「蜜柑さんと林檎さんと何かあったらしいんだけどさ」
坂田が言った
「ウチにいきなり林檎姉さんから電話きて『柚汰行ってない?』って言われて」
南が言う
「俺ン家には蜜柑さんから電話きたし」
坂田が言う
「俺等んトコにいないってことは京助んトコに中島がいるんだろうなーとか思って」
南が笑いながら言った
「…来たわけか;」
京助が言うと坂田と南が頷いて笑う
「…そんで? お前等のその鞄の中身は何ですかぃ?」
坂田と南の傍にある鞄を京助が指差した
「いや、面白そうだなと思いまして」
坂田がハッハと笑う
「帰れ」
京助が言った