【第五回・弐】中島君家の家庭の二乗
外が暗い午後四時ちょっとすぎの正月中学校二年三組の教室
教壇の前に集まって京助と3馬鹿がいつもは滅多に見せない真剣な顔で黒板を見ていた
「俺はやっぱりコッチが本体説がかなり有力だと思うんだがな」
坂田が黒板にカリカリと何かを書いた
「そうかぁ…やっぱソレが一番有力だよナァ…」
南が腕を組んで唸る
「でもだとしたらコッチ…体は何でできてるワケ?」
中島が突っ込むと坂田が頭を掻きながら黒板を見る
「そうだよなぁ…濡れても平気なんだもんナァ…体は」
そう言って京助も黒板を見た
黒板に書かれていたのは微妙に似ているが何処となく似ていない愛と勇気だけが友達で長時間風にさらして硬くなっているであろう自分の顔をハラヘリな方々に分け与える正義の食えるヒーロー【アンパンマン】
「もともと確かコイツってジャムんトコに流星に乗ってきたんだよな? たしか」
南が言うと
「お前よく知ってるナァ;」
京助が言った
「だてに幼稚園のとき飽きるほど紙芝居読み聞かせされてないぜ? …そんでバイキンマンはゴミ捨て山に落ちたんだよ。んでもって一人で生きてあそこまで大きくなったんだってさ」
南が聞かれてもいないバイキンマンの過去を話した
「…バイキンマン…苦労してたんだナァ…そりゃ捻くれるわな」
坂田がうんうんと頷いた
「一緒に降ってきたアンパンマンは幸せにぬくぬく暮らして育てられて…自分は一人でかぁ…」
中島がしみじみ言ってふと時計に目をやった
「っあああああ!!やっべぇ!!;」
叫んだ中島に何事かと京助と南、坂田が驚く
「わっり!! 先帰る!!;」
机に乗せてあった鞄の肩掛け紐を掴むと走り出したが紐が机に引っかかって机を倒した
「落ち着けよ!;」
京助が呆れ顔で言うと机も直さず中島が暗い廊下を駆けていった
「…なんなんだ?;」
キュッキュッという上靴の足音が遠のいて聞こえなくなる
今日は正月町にある正月スーパーの特売日で夕食支度時の買い物客が黄色いカゴを手に店内にあふれている
そしておばちゃんたちがほとんどの買い物客の中に紺のブレザー姿の女子高生が一人長いストレートの黒髪を耳にかけて【本日の広告の品】と手書きで書かれた張り紙を見ていた
カゴの中には豆腐と大根、そしてたまねぎ
「んしょっ…」
重そうにカゴを持ち直す
「いらっしゃいませぇ~!!」
ンガーっと店の自動ドアを開けて中島が小走りで店内に入ってくるなり
「ミカ姉!!」
そういいながら女子高生に近づいた
「ゆ-ちゃん遅い!!」
ずいっと中島に向かって女子高生がカゴを差し出すと中島が黙ってソレを持つ
「お米売り切れちゃうところだったんだから!四時って約束したじゃない」
中島の鼻に指をつけて【ミカ姉】と呼ばれた女子高生が怒る
「まぁまぁ蜜柑(みかん)ちゃん、柚汰ちゃんだって忙しいんだから許してやんな?」
発泡スチロールの箱に【本日の広告の品】らしいほうれん草を入れた店のパートのおばちゃんが蜜柑に言った
「お米なら確保したんでしょう? いいじゃないのさ」
「んもう…斉藤さんはゆ-ちゃんに甘いんだから…」
蜜柑が膨れると中島が苦笑いを浮かべた
「ゆ-ちゃん何か欲しいものある?」
カゴを持って蜜柑の後ろをついて歩いていた中島を蜜柑が振り返った
「ん~…俺は別に…」
中島が何気に店内を見渡しながら言う
「…じゃぁアイスでも買っていこうか。そろそろりっちゃんも帰ってくる頃だし…お風呂上がったらみんなで食べよ?」
そういってアイスの入っている冷凍庫のスライド式のドアを開けて6本入りの箱アイスをカゴに入れた
教壇の前に集まって京助と3馬鹿がいつもは滅多に見せない真剣な顔で黒板を見ていた
「俺はやっぱりコッチが本体説がかなり有力だと思うんだがな」
坂田が黒板にカリカリと何かを書いた
「そうかぁ…やっぱソレが一番有力だよナァ…」
南が腕を組んで唸る
「でもだとしたらコッチ…体は何でできてるワケ?」
中島が突っ込むと坂田が頭を掻きながら黒板を見る
「そうだよなぁ…濡れても平気なんだもんナァ…体は」
そう言って京助も黒板を見た
黒板に書かれていたのは微妙に似ているが何処となく似ていない愛と勇気だけが友達で長時間風にさらして硬くなっているであろう自分の顔をハラヘリな方々に分け与える正義の食えるヒーロー【アンパンマン】
「もともと確かコイツってジャムんトコに流星に乗ってきたんだよな? たしか」
南が言うと
「お前よく知ってるナァ;」
京助が言った
「だてに幼稚園のとき飽きるほど紙芝居読み聞かせされてないぜ? …そんでバイキンマンはゴミ捨て山に落ちたんだよ。んでもって一人で生きてあそこまで大きくなったんだってさ」
南が聞かれてもいないバイキンマンの過去を話した
「…バイキンマン…苦労してたんだナァ…そりゃ捻くれるわな」
坂田がうんうんと頷いた
「一緒に降ってきたアンパンマンは幸せにぬくぬく暮らして育てられて…自分は一人でかぁ…」
中島がしみじみ言ってふと時計に目をやった
「っあああああ!!やっべぇ!!;」
叫んだ中島に何事かと京助と南、坂田が驚く
「わっり!! 先帰る!!;」
机に乗せてあった鞄の肩掛け紐を掴むと走り出したが紐が机に引っかかって机を倒した
「落ち着けよ!;」
京助が呆れ顔で言うと机も直さず中島が暗い廊下を駆けていった
「…なんなんだ?;」
キュッキュッという上靴の足音が遠のいて聞こえなくなる
今日は正月町にある正月スーパーの特売日で夕食支度時の買い物客が黄色いカゴを手に店内にあふれている
そしておばちゃんたちがほとんどの買い物客の中に紺のブレザー姿の女子高生が一人長いストレートの黒髪を耳にかけて【本日の広告の品】と手書きで書かれた張り紙を見ていた
カゴの中には豆腐と大根、そしてたまねぎ
「んしょっ…」
重そうにカゴを持ち直す
「いらっしゃいませぇ~!!」
ンガーっと店の自動ドアを開けて中島が小走りで店内に入ってくるなり
「ミカ姉!!」
そういいながら女子高生に近づいた
「ゆ-ちゃん遅い!!」
ずいっと中島に向かって女子高生がカゴを差し出すと中島が黙ってソレを持つ
「お米売り切れちゃうところだったんだから!四時って約束したじゃない」
中島の鼻に指をつけて【ミカ姉】と呼ばれた女子高生が怒る
「まぁまぁ蜜柑(みかん)ちゃん、柚汰ちゃんだって忙しいんだから許してやんな?」
発泡スチロールの箱に【本日の広告の品】らしいほうれん草を入れた店のパートのおばちゃんが蜜柑に言った
「お米なら確保したんでしょう? いいじゃないのさ」
「んもう…斉藤さんはゆ-ちゃんに甘いんだから…」
蜜柑が膨れると中島が苦笑いを浮かべた
「ゆ-ちゃん何か欲しいものある?」
カゴを持って蜜柑の後ろをついて歩いていた中島を蜜柑が振り返った
「ん~…俺は別に…」
中島が何気に店内を見渡しながら言う
「…じゃぁアイスでも買っていこうか。そろそろりっちゃんも帰ってくる頃だし…お風呂上がったらみんなで食べよ?」
そういってアイスの入っている冷凍庫のスライド式のドアを開けて6本入りの箱アイスをカゴに入れた
作品名:【第五回・弐】中島君家の家庭の二乗 作家名:島原あゆむ