雪の王国
その様子を見て優希はいつも通りのやり取りに安心し、見送りに出るためカルネと一緒に外に出た。
広場には先程よりも更に増えた男達が移動を開始しようとしているところだ。
ディークに無理やり引っ張られ、シェルも諦めたのかこちらに大きく手を振っている。
「ユーキ君!行ってくるねー!怪我してくるから治療よろしく!」
カルネと優希は揃って吹き出し、笑いながら手を振り返した。
「真面目にやれー!」
カルネが叫ぶ。優希も手を振っていると、ディークが少しだけ振り返って優希と目を合わせた。
ディークにも手を振ると、ディークはすぐに顔を前に向きなおし、シェルを引きずりながらさっさと行ってしまった。
「?」
「素直じゃないわねー」
訳が分からない。と優希が思っていると、カルネがポツリと呟いた。
「何がですか?」
「子供は分からなくていいのよ」
カルネに子供扱いされ、少々ムッとしながらも二人が見えなくなるまで大きく手を振り続けた。