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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回】 垂れ流しからの恩恵

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「…ワシから吸っていたわけか?」
迦楼羅が言った
「吸っていたというか…」
ゼンがゴを見る
「傍に行くと勝手に流れ込んできたんだなや」
ゴもゼンを見てその後そろって迦楼羅を見た
「いわば垂れ流しのおこぼれ拝借?」
ゼンとゴがハモって言った
その言葉を聞いて迦楼羅が固まった
そしてなるべく顔を動かさないように乾闥婆を見る
「迦楼羅の力はかなりのものですからあなた達をその姿に戻す分なんてほんの一部でしかないと思いますが…」
乾闥婆が迦楼羅を見た
「【宝珠】を一つ貸し出し中なものであなた達が傍に寄れば寄るほどあなた達に流れ込んでいってしまうのでしょう」
「…知っていたのか?;」
迦楼羅が乾闥婆を見上げて聞いた
「あたりまえです」
乾闥婆がしれっとした顔で返した
「【宝珠】と普通の玉の区別くらい僕にもわかりますよ馬鹿にしないで下さい」
「…そうか…すまなんだ」
ふっと笑いながら迦楼羅が乾闥婆に謝った
「…とにかくです。こんな状態なのであまり迦楼羅の傍に寄らないでほしいんですが」
乾闥婆がゼンとゴに向って言った
「寄るなといわれても…」
ゴがゼンを見る
「ゼン等は栄野を守らないとなんだなや」
ゼンが悠助の頭を撫でながら言った

「…ちょっと待つっちゃ」
【弱い】を連呼されて黄昏ていた緊那羅がゼンとゴに近づいた
「なんだなや?」
「京助と悠助は私が守るんだっちゃ!」
緊那羅が言った
「緊ちゃん?」
悠助が緊那羅を見上げる
「私が守るって言われても…」
ゼンがゴを見る
「ゴ等が(強調)栄野守るんだなや。緊那羅達は用無しなんだなや」
ゴが笑いながら緊那羅に言った
「な…ッ」
「聞き捨てなりませんね」
何か反論しようとした緊那羅より先に乾闥婆が言った
乾闥婆の周りの空気が変わった
例えて言うなら暖房が一気に冷房に切り替わったという感じだ
「…けん…」
緊那羅が乾闥婆に声をかけようとして途中で言葉を止めた