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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回】 垂れ流しからの恩恵

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「ねーねー!! どっちがコマ?」
いつの間にか悠助がゼンとゴの目の前にいた
「っだ!?; 悠?;」
京助が悠助の名前を呼ぶ
「君達コマとイヌでしょ?」
悠助がにっこり笑って二人に聞いた
「さっすが悠なんだやな!」
「ゼンがコマでゴがイヌなんだやな悠!」
二人同時に悠助の頭に手をのせた
「…は?;」
「…あの二人が…さっきの犬二匹…ってことらしいですね…」
さすがの乾闥婆も理解に苦しんでいるようで言葉にいつもの切れが無い
「…まさかとは思うが」
ずっと黙っていた迦楼羅が呟く
「…あいつ等は…」

ぐきゅぅうぅぅうう~…

折角真顔で言っていた言葉を腹の虫がかき消した
「…【あいつ等は】なんですか?? 迦楼羅」
迦楼羅を支えるように後ろに立った乾闥婆が迦楼羅に聞いた
「…あいつ等は【式】だ」
迦楼羅が言った
「劇団?」
京助がすかさずそういったが誰もギャグわかってくれなかった
「…坂田…中島…そして南…俺今ほどお前等との友情が恋しくなったことねぇかもしれねぇ…」
和室内には【劇団四季】という団体を知っているものはいなくそれで京助のギャグに誰も気づかなかったと思われる
「どうしたんだっちゃ? 京助」
遠い目をして四人で育んだ阿呆い日常…ボケたら誰かしろが必ず突っ込んでくれる幸せを思い出している京助に緊那羅が声をかけた
「…友達って…いいよな…」
そういって遠い目のままほくそ笑む京助を見て緊那羅が首をかしげる

「…【式】ってあの…」
乾闥婆(けんだっぱ)がゼンとゴを見て呟いた
「そうだ【式神】だ」
迦楼羅が乾闥婆に言う
「ピンポ----ン!!!! なんだやな!! さっすが馬鹿でっかい力もってるだけのことはあるんだなやー」
ゴが尻尾を振って迦楼羅を指差しながら言った
「緊那羅からはちょこっとしか吸えなかったんだなや」
ゴが緊那羅を見た
「吸うって…私から?; え?;」
「ようは緊那羅の力が弱いってことだなや」
ゼンが笑いながら緊那羅の肩を叩いて言った
「緊那羅が京助んトコ来たときやっと戻れると思ったんだけど…な?」
ゼンがゴを振り返った
「緊那羅の力はゴ等をこの姿に戻すまでの量じゃなかったんだなや」
ゴが頷きながら言う
「宝珠ももってなかったし、期待はしてなかったんだやな」
「まぁ話せるまでにはなったんだなや」
ゼンがゴの隣に戻る
散々【弱い】といわれて緊那羅が座り込んで黄昏始めた