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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回】 垂れ流しからの恩恵

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「…この声…」
緊那羅が悠助を見ると悠助はきょとんとしている
「悠助…今の声さっき玄関で聞いた声に似てないっちゃ?」
緊那羅にそう聞かれて悠助は少し考えたあと何かを思い出したらしく大きく頷いた
「何? 緊那羅と悠助の知り合いの声か?」
京助が縁側の廊下に向かって歩いた
「さっき玄関で声だけ聞こえたんだっちゃ。その声に似てる…っちゃ」
緊那羅も京助の後に続く
「声だけ…ですか?」
乾闥婆も立ち上がった
「そうだよ~声だけ聞こえて…でも誰もいなくて」
悠助がそういいながら京助の隣を歩く
「それは…妙だな」
迦楼羅も立って後に続いた
「…誰もいねぇぞ…」
5人そろって何度も右左に首を振って縁側の廊下を見るがそこには誰もいなかった
「う~…;」
悠助が乾闥婆の長く垂れた布を握りしめて一歩後退する
「…大丈夫だ」
そんな悠助の頭を迦楼羅がポンと軽く叩いた
「お前たち兄弟はワシらが守る」
迦楼羅が悠助の斜め前に立った

「ゴ等も一緒に守りたいんだやな」
京助の目の前にいきなりさかさまになった顔が下がってきた
「…っでぇぇぇぇええええ!!!!?;」
一瞬沈黙した後京助が大声を上げて後ろに飛びのくと後ろにいた緊那羅と乾闥婆そして迦楼羅を巻き込んで将棋倒しになった
「重いわ! 早くどかんかッ!! たわけ!;」
迦楼羅が三人の下敷きとなりながら叫ぶとコマがとたとたと迦楼羅に駆け寄りさっきイヌがしていたように迦楼羅の額を舐め始めた
「な…やめんかッ!! コラッ!!;」
下敷きとなっているせいで身動きが取れない迦楼羅がコマに向かって叫ぶ
「すぐ済むんだなや」
さかさまになってぶらぶらしている少年(?)が笑いながら言った