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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回】 垂れ流しからの恩恵

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「…かるらん?」
「迦楼羅…?;」
緊那羅と悠助が同時に迦楼羅の名前を呟いて顔を見合わせる
「こら! 吠えるなッ! だぁあッ!! 離れんか!! たわけッ!!;」
ドタドタと聞こえる走りまわっているような足音とハモって聞こえる二匹の吠え声
そして
「だぁッ!;」
という声と ドタッ!! ゴン!! という大きな音
「…コケたっちゃね」
緊那羅がボソッと呟くと悠助が緊那羅の腰から離れて縁側に向かった
悠助の後をおって緊那羅も縁側に向かう

「…何やってるんだっちゃ…;」
縁側がある和室の戸口で緊那羅が見たものは額を押さえて蹲る迦楼羅とその周りを吠えながら回っているコマとイヌ
どうやら和室に入る際段差に躓いてそのまま倒れた時にテーブルに頭をぶつけたらしい
相当痛かったらしく額が赤くなっていて目が少し潤んでいる
「かるらん大丈夫?」
悠助が赤くなっている迦楼羅の額に手を当てて顔を覗き込んだ
その周りをなおも二匹の犬が吠えながら回っている
「えぇい!! やかましわッ!!;」
涙目のまま迦楼羅が二匹に向かって怒鳴る
「やかましいのは貴方です」
ビンッ と後ろ髪を引っ張られて迦楼羅の首が ゴキッ と鈍い音を立てた
「けんちゃん!」
迦楼羅の後ろ髪を持ったまま乾闥婆が悠助に笑顔を向けた
「だから玄関から入れといったんですまったく…」
乾闥婆が引っ張っていた後ろ髪を離すと迦楼羅がそのまま後ろに倒れた
「だからといって引っ張るなたわけッ!!;」
乾闥婆を見上げて迦楼羅が言う
「どうしたんだっちゃ? 二人とも…」
緊那羅が二人に歩み寄る
「別にどうもしませんが…ただ…」
そういって乾闥婆がチラリと迦楼羅を見る
「遊びに来たの? かるらん?」
悠助が仰向けに倒れている迦楼羅の顔を見て聞いた
「だ…誰がッ!!!」
迦楼羅が飛び起きるとタイミングよく乾闥婆が