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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第五回】 垂れ流しからの恩恵

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「…三時間と二十三分」
箸で傍にあった切干大根を摘んで京助が言った
「…長すぎだろう;」
その切干大根を口に運ぶ
「何を言う。ゆっくり浸かってこその風呂だ」
迦楼羅が竜田揚げを齧る
「今日はまだ短いほうですよ」
乾闥婆が湯気のたった味噌汁を啜りながら言った
本日の栄野家の晩餐のメニューは白米に始まりフノリとじゃが芋の味噌汁、切干大根、竜田揚げにほうれん草の御浸しとなっている
「京助~お肉とって~!!」
悠助が飯粒のついた箸で竜田揚げの皿を指して言った
「ほら悠ちゃんご飯粒おちたわよ」
母ハルミがおかわりをした京助に茶碗を渡しながら悠助に向かって言った
悠助が落としたご飯粒を緊那羅が拾い皿の隅に載せる
「…お前等はそれでいいのか?;」
悠助の皿に竜田揚げを二つ乗せて後ろで犬の姿のまま味噌汁ぶっかけご飯を食べているゼンとゴ(コマとイヌ)に声をかけた
「ゴ等は箸苦手なんだなや」
鼻の先に飯粒をつけて尻尾を振りながらゴが言った
「こっちのがいいんだなや」
空になった皿をゼンが舐める
「…そうか;」
京助がそういいながら軽くゲップをした

「ハルミ殿は肝が据わっているな」
夕食後京助の部屋で迦楼羅が言った
「あぁ…母さん細かいこととか気にしないから」
京助が小さなハロゲン式ヒーターのスイッチを入れる
「ヒマ子さんの時も全然驚かなかったしな」
「私が来た時もそうだったっちゃ」
緊那羅が言った
「…でさお前等一体何なんよ?【式】って何?」
京助が緊那羅の膝の上で丸くなっている二匹に言う
「眠いんだなや~…」
ゴが欠伸をしてもそもそ動く
ゼンはもう夢の中だった
「…コイツら…;」
ゼンの角をつつくと乾闥婆と悠助が部屋に入ってきた
「片付けご苦労様だっちゃ」
緊那羅が乾闥婆に向かってい言った
「…オイ;それ外して大丈夫なのか?;」
京助が袖口を止めてあった布を指差して乾闥婆に聞く
昼間その布が乾闥婆の周りを飛び始めると緊那羅と迦楼羅が自分たちを連れて避難した事を思い出していた
「大丈夫ですよ」
そう言って乾闥婆が袖を下ろし布で縛って止めた
「…ならいいんだけどよ…で…早速だけど」
京助が乾闥婆から迦楼羅に視線を移した