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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回・参】恋のタコヤキ合戦

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やたらとでっかく低い声が教室中に響いて一般のお客が静まりかえった
「馬鹿!! 三浦!!」
そしてその後に聞こえた声に三浦が誰かに引っ張られ戸口から消えた
「…若お客さん」
本間が壁にへばりついて今だ母ハルミに会えなかったことを嘆いている坂田に声をかけた
ぞろぞろと教室に入ってきたのは黒系スーツを身にまとった坂田組の面々
ソレを見ても何事も無かったかのようにタコヤキを購入していく客
ココら辺で坂田組が町民とうまくいっていることがわかる
「ミッツ、半被少し大きかったんでないかい?」
髪をビシッと結い上げて眼鏡をかけ着物を着た女性が坂田の半被を引っ張って言った
「仕方ないですよ姐さん。組の者が着てたものですし」
柴田が言った
「半被有難うございましたおばさん」
阿部と本間、浜本が着物の女性に頭を下げた
「やだよぉ!! 可愛い息子の出しモンだってぇんだ。なんでも貸してやるさね」
カラカラと笑って坂田の頭を叩く
「じゃぁその可愛い息子が焼いたタコヤキ買ってってくださいよ」
京助がココゾと売り込む
「ったく調子いいねぇキョン助は。ハルちゃんと悠は来てないのかい?」
坂田母が京助に聞いた
「今さっきまでいたんスけど飯の方行ったっスよ」
客にタコヤキを渡してお金を受け取りながら京助が言う
「…親父は?」
坂田が柴田に聞いた
「あぁ…組長なら…」

ガラガラガラガラガラガラ…

「…坂田…親父さん来るって言ってたのか?」
京助が坂田に耳打ちした
「…あぁ; この前のヤツで母さんブチ切れてそれから人の多いところに強制的に連れ出してるんよ; で…今日も…つれてくるとか言ってたんだけど」

ガラガラガラガラ…

廊下の向こうからだんだんと近づいてくる台車の音
「…俺さぁ…最近嫌な予感ってことごとく当たるんだわ…」
京助がフッと笑って坂田の肩を叩く
「…俺も今日、今、この音に関しての嫌な予感はノストラさんと対張るくらい的中すると思いますぜダンナ」
坂田と京助がそろって教室の戸口に目をやると丁度台車が止まった
台車の上には【愛別産おいしいキノコ】と書かれた明らかにどっかのスーパーから持ってきたと思われる大きなダンボールが二つ繋がってガムテープで固定されている
「…どきな菅原」
坂田母が台車を押してきた組員に言い放つと大股で台車に近づきダンボールを掴んで投げた
「…坂田のお父さんって…」
阿部が小声で言うと
「…何やってる人だっけ…」
ミヨがそれに続いていった
「…どっから借りてきたんだい…」
ダンボールの中にいたのは正月町のマスコットキャラクター【カモメのマーシー君】 (の着ぐるみを着た坂田父)だった
「…相変わらずだなお前の親父さん」
京助がヘッと笑って坂田に言った
「…おかげさまで」
坂田が顔をそらして返した
「今すぐ脱ぎなッ!! こンの阿呆!!」
足をむき出しにして坂田母が着ぐるみに手をかけ脱がそうとする
「やめッ…母さん!!; 勘弁してくれ!!」
坂田父が着ぐるみで必死に抵抗する
「…なぁ坂田…アレ…ってかお前の親父さん新しく看板で使えんじゃねぇ?」
浜本が言った
ソレを聞いた坂田の眼鏡がキュピーンと光った