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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回・参】恋のタコヤキ合戦

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「すいません…あの写真撮らせていただいて構いませんか?」
女の子の母親が申し訳なさそうに制多迦に言う
「どうぞどうぞ~俺シャッター押しますんで」
京助が親子に近づいてカメラを受け取った
「お兄ちゃん抱っこー」
女の子が制多迦を見上げてクイクイ服を引っ張った
制多迦がオロオロしながら京助を見ると京助は【やれ】というサインを出した
「ハァイ!! チーズ!! サンドイッチ!!」
ピロリン♪ という音がした
「…坂田…京助の従兄弟使えるんじゃねぇ?」
浜本がタコヤキを焼きながら坂田に言った
「…使えるものは阿呆でも使え…だな」
坂田がニヤリと笑った
「ありがとうございましたー!!」
女の子が制多迦に手を振りながらタコヤキを持って出て行った
「京助」
坂田と浜本が手招きして京助を呼び寄せそして何やら耳打ちをすると京助がグッと親指を立てた

「緊那羅」
そして今度は京助が緊那羅を呼ぶと緊那羅が首をかしげながらも京助の元に小走りで向かった
そしてやはり何か耳打ちされている
「えぇええ!?;」
突然緊那羅が大声を上げた
「そんくらい協力しろよなー」
京助が言うとしぶしぶながらも
「…わかったっちゃよっ!!;」
緊那羅が承諾した
「階段降りて右がトイレだから。よろしく」
京助がヒラヒラ手を振ると坂田もヒラヒラ手を振って緊那羅を見送った
「緊ちゃんどこいったの?」
悠助が制多迦を見上げて聞くと制多迦が首をかしげた
「あ!! いらっしゃいませーどうぞー!!」
第一号に続いて第二号のお客が顔を覗かせる
その後ろには第三号、第四号と続いている
そしてその後ろにはアノ格好の緊那羅が続いて入ってきた
やはり目を引くのかタコヤキが焼けるまでの間制多迦と緊那羅の周りにお客が集まっている
「劇か何かに出るんですか?」
「コレ自分で作ったの?」
「変な格好ー!!」
マダムの質問攻めとお子様の相手で制多迦も眠気の波が今のところきていないらしい
「…使えたなお前の従兄弟 (強調)」
坂田がクリンとタコヤキを返しながら言った
「使えるものは何でも使え」
京助が生地の中にタコを落としながら返事した
「ちょっと! 京助!!」
阿部が京助の半被を引っ張って京助を呼んだ
「何だよ今忙しいだろが」
「アタシが代わるからそっち行って」
本間が京助からタコの入ったボウルを奪い取った
「…何だよ;」
屋台の隅にしゃがんだ京助が阿部に聞いた
「あの…背の高い色黒の人京助の従兄弟?」
「あ?; …はぁまぁ…一応」
阿部の質問にドギマギしながら答えた
「双子とか兄弟とかいないの?」
今度は横からミヨコが聞いてきた
「…兄弟…」
京助がお客に囲まれてオタオタしている制多迦を見た
そして浮かんできたのは
「…矜羯羅…;」
制多迦と目元がそっくりな矜羯羅「いるの!?」
「ぐぇっ!!;」
ミヨコが京助の襟首をつかんで声を上げた
「いるの!? いるんだね!?」
京助をガクガクゆすりながらミヨコが聞いてくる
どこにココまでの力があったのか恋する女は恐ろしい
「母さんこの人動かないよ?」
男の子の言葉にふと顔を上げた面々は白く固まったまま忘れ去られていたハルの姿を目にした