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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回・参】恋のタコヤキ合戦

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生徒でごった返している廊下に更に一般入場客が追加された
「ミヨ!! 危ないって!!;」
紙袋を片手にミヨコがそのごった返している廊下を足早に進んでいく
「早く行かなくちゃ坂田達まってるもん」
後ろを軽く振り返りながらミヨが言った
「だからって…馬鹿!! ミヨ! 前!! 階段っ!!;」
「え? っわっ!!」
本間が叫ぶとミヨコの体がグラッと傾いた
「ミヨ!!」
落ちる-…! 周りの誰もがそう思ったに違いないのだろうが誰も助けようとはしなかった
あまりにも突然でただ宙に放りあがった紙袋と階段から足を踏み外して崩れたミヨコを見ているしか出来なかった
「や…っ!!」
ミヨが痛さを覚悟してぎゅっと目を瞑った

トン…

何かにぶつかった
でもソレは痛くも冷たくもなくて逆に温度を感じた
「…気をつけなよ。危ない」
「え…?」
バサバサと紙袋が階段を転がり落ちて中に入っていた半被が散らばった
「ミヨ!!」
阿部と本間が駆け寄る
「ありがとうございました…あの…」
阿部が頭を下げる
「…別に…じゃあね」
ミヨコを本間に預けて頭を下げている阿部の横を静かに通り過ぎる
「…格好いい…人だったね…役得じゃんミヨ」
人ごみに消えていった後姿を三人がぽーっと見ている
「…高校生かな…」
ボソッと本間が言った
「でもあの格好…演劇?」
阿部が本間とミヨに近づきながら言った
「でも演劇ってたしかあんな服装じゃなかった様な気がする…。…ミヨ?」
固まったまま動かないミヨコの頬を本間がペチペチと叩いた
「…かっこいぃ…」
頬をほんのり赤く染めてミヨコが呟いた
「…惚れちゃった?」
阿部が半被を拾い集めてきてミヨコに言うとミヨコがコクリと頷いた

「…お前やっぱ類友の類なんだな」
坂田が壁に寄りかかりながら京助に言った
その視線の先には悠助と緊那羅そして…
「…いとも?」
あいかわらず眠そうな制多迦がいた
「ハルミママはバザー見てから来るって」
悠助が制多迦と緊那羅の間に挟まって二人と手をつなぎながら言った
「あ・そ;」
京助が顔を引きつらせながら返事をした
「コイツも緊那羅と同類だろ?」
坂田が制多迦をタコヤキを返すアレで指した
「…同類…っていうか…同類…?;」
緊那羅が横目で制多迦を見る
「…んならは【天】で僕は【空】なんだけど」
その視線に気づいたのか制多迦が緊那羅を見ながら言う
「…【天】に【空】ねぇ…よくわからんけどまぁ同類にしとけ」
坂田が手をひらひらさせながら言った
「にしても…阿部達もハル達も遅ぇな」
京助が廊下に顔を出す

「お!! 来た来た!」
発泡スチロールの箱をキュッキュ言わせながら浜本とハルが駆けてくる
「スマン!! 親父が生と茹でたやつ間違えてきやがってさ;」
「しっかり親父さん!!;」
浜本の言葉に京助が突っ込む
「あれ? 悠じゃん!! 久~! …でこの方たちは…」
ハルが緊那羅と制多迦を見て京助の方を向く
「京助の従兄弟ズだ」
坂田がハルの質問に答えた
「…コスプレが趣味なんだコイツ」
京助が制多迦(きんなら)の格好を突っ込まれる前にここぞと坂田の【従兄弟】という答えに乗っかってつけたした
「…へぇ…」
浜本とハルが制多迦をまじまじと見ていたところにミヨコ達が入ってきた
「ねぇねぇ!! 聞いて聞いて!! ミヨがね! ミヨがね!!」
本間が教室に入るなり話し出した
「ミヨが?」
【ミヨ】という言葉に反応してハルが言う
「ミヨが一目惚れしましたッ!!」
阿部が言うと一斉にミヨコに視線が集まった