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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回・弐】召しませ玉子酒

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「あ-!! 京助が緊ちゃん泣かせてるー!」
悠助が戸をあけて京助を指差して言った
「…俺が悪者デスカー?;」
たり~っと鼻水をたらして京助が呟く
「大丈夫? 緊ちゃん…」
悠助が緊那羅に近づいて頭を撫でた
「…悠助~…」
緊那羅が悠助に抱きついた
「…緊ちゃん…お酒臭い…」
緊那羅の頭を撫でながら悠助が言った
「…玉子酒で酔っ払ってるんだよ; ソイツ;」
種の刺さった畳をどかしながら京助言った
「酔ってないっちゃっ!! 京助のば-か」
緊那羅が悠助に抱きついたまま京助に向かって舌を出した
「まぁ! 京様に向かってなんてことを!!」
ヒマ子が緊那羅に向かって叫んだ
「私はよって…ない…っちゃ」
緊那羅の声がだんだん小さくなっていき悠助の体から手が離れそのままぱたりと倒れた
「緊ちゃん?」
「すー…」
悠助が名前を呼ぶと寝息が返ってきた
「緊ちゃん寝ちゃったよ京助~」
足元ですーすーと寝てしまった緊那羅を見て悠助が京助に言った
「…みりゃわかる; …ひ…っくしっ!;」
開けっ放しの窓、一枚だけはがれた畳
「…俺病人なんだけどなぁ…ちく…しょ…へ…へくしょっ!!」
「京助汚い~;」
唾が飛んできたらしく悠助が顔を服の袖で拭う
「まぁ! 京様! お風邪を召しておられたのですか!! まぁ…それならば早くお休みに…」
「や・す・ん・で・た・ん・だ・よ・ッ!!;」
ヒマ子が顔に両葉を当てて慌てると京助が怒ったように区切り区切り言った
「京助~緊ちゃんどうするの? 起きないよ?」
悠助がしゃがんで寝ている緊那羅の頬や髪を突付いている
が緊那羅は起きる気配はない
幸せそうな顔してすーすー寝息を立てている
「緊ちゃんも風邪引いちゃうよ~京助~」
悠助が緊那羅の頬をみょーんと引っ張りながら京助に訴えてきた
「…しゃぁねぇなぁ…;」
ゴホっと一回咳をして京助は寝こけている緊那羅の腕を引っ張った
「京様」
ヒマ子に名前を呼ばれて京助は緊那羅の腕を持ったままヒマ子を振り返った
「…私は…京様にご迷惑をかけているのでしょうか…」
「は?」
いきなり『迷惑か』と聞かれて京助は思わず緊那羅の腕を放した
「痛い~」
その緊那羅の腕が悠助の足の上に落ちて悠助が膨れる
「…私がいなければ京様は緊那羅様とラ…」
「ハイ!! ソコ!! それそこから強制終了!!;」
ヒマ子の言葉を京助が止める
「…とにかく私は京様にご迷惑をかけているのではないかと…そして…京様はそんな私のことはお嫌いなのではないかと…」
ヒマ子が窓枠から姿を消した
悠助が窓に駆け寄り下を覗き込む
「ヒマ子さん…京助…ヒマ子さんが…」
悠助が京助を振り返って眉を下げる
「…あのなぁ…;」
ズッっと鼻をすすって京助が窓に近づく
「一回しか言わないからな」