【第四回・弐】召しませ玉子酒
窓の開いた音につられて窓の方を見た京助ががっくり肩を落とした
「な…なななななな…」
窓の外には両葉をわなわな震わせながらヒマ子がいた
「何をなさってるのですか-----ッ!!?」
ヒマ子が大声を上げると緊那羅がヒマ子を見た
「き…緊那羅様!! 一体何を…っ!! 京様とな…とにかくお離れになってくださいッ!!」
声を荒げて騒ぐヒマ子に
「やだっちゃ~」
といって京助にくっついた
「ぎゃぁああああああああ-------------------ッ!!」
ヒマ子が今だかつてない悲鳴を上げる
「オイコラ;」
その緊那羅を京助が引き離すと緊那羅がまた目を潤ませた
「京助が嫌う~…」
「あのなぁ…;」
「なっ泣けばいいてものじゃありませんわよ! 緊那羅様っ!! 京様がお困りではありませんかっ!! 離れてくださいっ!!」
泣き出す緊那羅にわめくヒマ子
「やっぱり怒ってるんだちゃー」
うわーんと幼稚園児並の泣き方で緊那羅が泣く
「いい加減京様から離れてくださいましッ!! 緊那羅様ッ!!」
ヒマ子が窓の枠に捕まって身を乗り出しわめく
鉢が壁にぶつかっているのかたまにゴンゴンという音も聞こえる
「…俺一応病人なんスけど;」
たり…と鼻水をたらしながら京助が呟く
「緊那羅様ッ!! 今すぐ京様から離れてくださいませッ!! さぁッ!!」
ヒマ子が再び京助から離れるよう緊那羅に言った
すると緊那羅がピタッと泣き止んでヒマ子を見てにーっと笑った
「…いやな笑顔だなぁオイ;」
京助のいやな予感が大当たりした
作品名:【第四回・弐】召しませ玉子酒 作家名:島原あゆむ