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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回】わき道・寄り道・帰り道

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「公園にいくには本当はこの道をずーっと真っ直ぐ行かないといけないんだけど僕こうちゃんに近道教えてもらったんだ~」
雨が上がり不要になった傘を畳んで悠助がタカちゃんの手を引っ張ってやや早歩きで道を進む
「こっちこっち」
「…っちどっち」
「こーっちっ!!」
悠助が振り返り笑顔でタカちゃんを見上げるとタカちゃんも笑顔を返す
家と家の間の狭い道を通り草の生い茂っている原っぱにでると明らかに誰かが通ってるといったような感じで草が折れて細い道が出来ていた
周りはイタドリが高く生えていてまるでトンネルのようになっているその道に悠助が足を踏み入れた

ペシパシペシパシ

「…うすけ待って;」
タカちゃんに呼ばれて振り返るとタカちゃんの顔に何か草が色々ついている
「…う少しゆっくり;」
悠助にとっては丁度いいトンネルなのだが悠助より背が高いタカちゃんは足を進めるたびイタドリの葉や何かの草が顔面にモロにぶつかっていたらしい
所々赤くなっている顔をタカちゃんがさすりながら苦笑いを浮かべた
「じゃぁゆっくりいくね?」
そういって悠助が歩く速度を落として歩き始めるとタカちゃんは少し前かがみになってその後ろをついていく
「もう少しだから!!」

ゴッ

出口が近づいたことを知らせようと悠助が笑顔でタカちゃんを振り返ると傘がタカちゃんに当たった
「ぁ…ご…」
謝ろうとした悠助の口にタカちゃんが人指をつけた
「…ょうど頼もうと思ってたから」
傘が当たったところをさすりながらタカちゃんが笑う
「…イスタイミング悠助ありがと」
ぶつけてお礼を言われてなんだかおかしな感じがしたが悠助も笑った
高いイタドリが少なくなってきてトンネルが終わると土手が現れ下を見るとそこにはブランコが見えた
「ついたー!!」
「…いたー?」
悠助が両手を挙げて言うとタカちゃんも笑いながら両手を挙げて言った
「うん!公園~!…タカちゃんの探してる人いるかなぁ…」
悠助が土手の上から公園を見渡す
「…がめいいねココ…」
土手の上からは港、そして正月町が結構いい感じに見渡せる
太陽が沈んだ紫色の空と海の境界線には漁船の明かりがちらほら見える
パッパッ…
と数回単発についたり消えたりしていた公園の外灯が灯ると町の外灯もあちこちでつき始める
「暗くて…よく見えないや…おりてみ…うわっ;」
『降りてみようか』と言いかけた悠助を抱えてタカちゃんが土手から跳んだ
そしてスタッとそのまま着地すると悠助をおろして周りを見渡した
「…ないなぁ…どこにいるんだろ…」
ぐるりと辺りを見渡してタカちゃんが溜息をつき悠助を見た
まだ何が起こったのかわかっていないのか悠助がぼーっとしてタカちゃんを見ているとタカちゃんはしゃがんで悠助の頬を軽く引っ張った
引っ張った悠助の頬をふにふにしながらタカちゃんが微笑んでいた
「…っくりした? もう一回やる?」
タカちゃんが楽しそうに【もう一回】を表す人差し指を立てた時だった
「離れろ!! 栄野弟!!」