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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回】わき道・寄り道・帰り道

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「…僕も…僕も一緒に探してあげようか?」
悠助が顔を上げると再び傘がタカちゃんに当たった
「…いの? ソレ」
タカちゃんが悠助の持っていたスーパーの袋を指差して言うと悠助は少し考えて
「…よくないけど…けど…タカちゃん困ってるからきっとハルミママも京助もけんちゃんも緊ちゃんも許してくれると思うんだ…だから大丈夫!」
悠助が満面の笑みをタカちゃんに向けた
「…りがと悠助」
タカちゃんも笑顔で悠助に言った
「…の前に」
タカちゃんがしゃがんで悠助と目線を合わせると少し驚いた悠助の傘がタカちゃんのドタマに『ゴッ』と刺さった
「…の前にまた叩いてもらおうとおもったんだけど」
タカちゃんが傘の刺さった箇所を撫でると悠助も一緒に撫でた
「…まのでいいや」
コクリと頷いて何か納得しているタカちゃんの頭を撫でながら悠助が首をかしげると
また傘がタカちゃんに当たった

オレンジ色の傘と黄緑色のカッパが少し小降りになってきた雨の中を並んで歩いていた
「もう濡れているけどこれ以上濡れないように」
と悠助がタカちゃんに傘を貸した
借りた傘をタカちゃんは指でつついたり皮を引っ張ったりしている
「タカちゃんの探している人ってどんな人?」
傘の皮をはじいて水滴を飛ばしていたタカちゃんに悠助が聞いた
「…っと…背はこんくらい」
タカちゃんが自分の額辺りで『こんくらい』と高さを表すジェスチャーをする
「…みはこんくらい」
次に悠助の髪を指差した
「…とは…」
「あとは?」
探しているという人物の特徴を思い出そうとしているタカちゃんを見て悠助が次の言葉を待つ
「…もいつかないや」
タカちゃんはハハっと笑って欠伸をした
「…るいけどまた一発お願いしていい?」
タカちゃんがしゃがむと悠助が目を瞑って思い切り叩く

パチーン!!

という音をさせてタカちゃんを叩いたのはコレで6回目
「…ん痛い」
「ごめんねごめんね」
叩かれた頬をさすりながらタカちゃんが言うと悠助が謝る
こんなことがタカちゃんが叩いてくれというたびに繰り返されていた
「…うすけ手痛くない?」
自分の頬をさすりながらタカちゃんが傘を肩に挟み空いた手で悠助の手をとった
「…いっきり叩いてるから手痛いでしょ」
そういって悠助の掌を撫でる
「ううん? 大丈夫だよ?」
悠助が首を振って笑った
「…やくみつけないとなぁ悠助の手が真っ赤になる…」
悠助の掌を撫でながらタカちゃんがボソっと呟く
「二人で探せばきっと見つかるよ!! 大丈夫!! あ、そうだ!! 公園とかにいるかもしれない!! あとは~…」
そんなタカちゃんを励まそうとしたのか悠助が大きな声でいそうな所を言う
「とにかく探そうよ! 見つかるよ! 二人だもん!! 一人より二人のほう早いからって京助よくいってるもん!! 大丈夫だよ!!」
「…ょうすけ…」
悠助が必死につなげている励ましの言葉の中にあった『京助』の名前にタカちゃんが微妙に反応した
「うん! 僕のお兄ちゃん」
悠助が笑う
「あとねーハルミママと緊ちゃんがいてねー…あ、そうそうヒマ子さんていう向日葵もいるんだ!! あとコマとイヌも!!」
悠助が家族の話を話すとタカちゃんは目を細めて笑い悠助の頭を撫でた