小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【第四回】わき道・寄り道・帰り道

INDEX|3ページ/19ページ|

次のページ前のページ
 

栄野家から一番近くの【正月スーパー】までは歩いて大体30分くらいかかる
悠助は傘を回して傘の端っこについた雨の水滴を飛ばしながら歩いていた
途中何度か車に水をかけられそうになりその度に傘で防御していたためにカッパも髪も微妙に濡れている
雨が降っているせいかいつもより人通りがない道を悠助はてくてく歩く
「…やっぱり誰かと一緒に来ればよかったかなぁ…」
雨の音と自分の足音しか聞こえなく悠助は少し寂しくなったらしい
「…大丈夫…僕は一年生になったんだもん…」
自分に言い聞かせると
「よしっ!!」
と気合を入れて大股で歩き出す

「気をつけて帰るんだよ?」
スーパーで買い物を済ませレジのおばさんからチロルチョコを5つもらって悠助は傘を広げた
片田舎で比較的小さな正月町は町全体が知り合いみたいなものでよその子だろうがどこの子だろうがお構いなしに可愛がってくれる人が多い
特に悠助くらいの子どもは中高年の年齢層にはやけに可愛がられていた
悠助はもらったチロルチョコをひとつ口に含むと家への道をまたてくてくと歩き出した
「ハルミママほめてくれるかなぁ…」
帰宅したときの母ハルミや京助たちの反応を想像して悠助が笑顔になる
「早く帰ろっ」
水溜りをジャンプして越えると悠助は早歩きで歩き出した
「…の」
雨の音に混じって声が聞こえ悠助は足を止めて振り返った
しかしそこには誰もいなく雨でぼやけた景色が見えるだけだった
「…気のせいかな…うん…そうだよね…」
ぎゅっと傘の柄の部分を握り締め再び歩き出す
「…のって」
今度ははっきり声が聞こえて悠助の顔が泣きそうな顔になる
「…っ…」
おそるおそる振り返ってもやっぱり誰もいなかった
「…や…だよぅ…」
悠助の目尻に涙がたまってきた
「やだよぅ…きょうすけぇ…」
前を向きなおしたら何かありそうで悠助はその場から動けずベソをかきだした
「…こわいよぅ…っ」
傘で視界をさえぎって何も見えないようにして泣き出すとパシャっという音がした
「…のさ…ちょっといい?」
頭の上から声がした
涙でぼやけてよく見えない目を拭うと足が見えた
「…わがらせたなら…謝る」
声の主がしゃがんで悠助の傘の中を覗き込んできた