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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回】わき道・寄り道・帰り道

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「手!!」
走りながら悠助が叫んだ
「…手?」
迦楼羅が自分の掌を見た
制多迦も迦楼羅と同じく自分の掌を見る
「手出して!! けんちゃんもきょんがらさんも!!」
やっぱり上手く【矜羯羅】と言えないらしい
悠助に名前を呼ばれて乾闥婆と矜羯羅も悠助の方を見る
「早く!! 手!」
首をかしげながらも四人が手を出すと悠助がポケットから何かを取り出して掌に乗せていった

「…何? これ」
自分の掌に乗せられた小さな四角い物体を矜羯羅がつまみ上げて見た
「チョコだよ~買い物したら荒木さんのおばさんがくれたの」
まじまじと四角い小さなチョコを見る四人を見て悠助がにこにこ笑う
「おなか減ってるとイライラするって。だからチョコ食べればイライラしないでしょ?」
「…食べ物なのか?」
迦楼羅が四角いチョコをそのまま口に入れようとした
「あ!! 待ってかるらん! 紙はがさないと…貸して?」
迦楼羅からチョコを受け取ると包み紙をはがし再び迦楼羅に渡す
ソレを見ていた制多迦、矜羯羅、乾闥婆も包み紙をはがした
「…おんもしれぇ…」
その様子を見ていた京助がプッと噴出した
「あ、ゴミはちゃんとゴミ箱に投げないと (北海道弁)駄目だから僕にちょうだい?」
包み紙を受け取ると悠助がゴミ箱に向かって駆け出す
「…甘い…匂いですね」
乾闥婆がチョコの匂いをかいだ
「おいしいんだよ~」
戻ってきた悠助がにっこり笑いながら言った
「僕大好きなんだチョコ。早く食べないと溶けちゃうよ?」
悠助に催促され四人は顔を見合わせるとほぼ同時にチョコを口に入れた
「どう? どう?」
悠助が四人の顔を見て聞いた
「…竜田揚げには負けるが…美味いな」
迦楼羅が指を舐めながら言った
「へぇ…こんな食べ物あるんだ…」
矜羯羅も美味かったらしくいつも笑顔だが優しい笑顔になっている
「でしょ?」
悠助が満面の笑みで満足そうに言う
「…いしかった」
制多迦が悠助に笑いかける
「…悠お前地味にすっげぇな…;」
「何が~?」
悠助の頭にポンと軽く手をのせて京助が言った
迦楼羅と制多迦が二人がかりでもどうにも出来なかったあのオドロオドロした険悪な恐ろしい空気をチョコで一掃してしまった悠助
「おいしかったですよ悠助」
乾闥婆(けんだっぱ)がにっこり笑った
その笑顔の後ろに般若面は見えない
「みんなおなか空いてたんだんだね」
悠助が京助を見上げて言った
「いや…まぁ…そうかもな;」
京助が苦笑いで返すと

ぐきゅぅう…

と迦楼羅の腹の虫が鳴いた