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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第四回】わき道・寄り道・帰り道

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「…悠ちょい傘貸してくれ」
京助が悠助から傘を借りると鉄棒の柱を叩いた

カ-----ン

という乾いた音が公園に響く
その音を聞いてまず矜羯羅が口を開いた
「相変わらずイイ性格してるよね君」
腕を組み乾闥婆に笑いかける
「貴方ほどではないですよ。にしてもその衣長すぎませんか? 名前のようにこんがらがらないように気をつけてくださいね?」
乾闥婆もにっこりと微笑みながら矜羯羅に言葉を返す
バチバチィッという火花が見えそうなくらいにそこだけ空気が明らかに違う
「…止めなくていいのか?;」
京助が傘で肩をトントン叩きながら迦楼羅と制多迦に聞いた
「…められるなら…」
「とっくにとめているわ。たわけ;」
制多迦と迦楼羅が顔を引きつらせて言った
「喧嘩駄目だよ~!! 京助~止めさせて~!!」
悠助が京助の体をゆすって頼んできた
「お前は俺を殺す気か;」
京助が遠い目をして言った
「タカちゃんー!! かるらん!!」
制多迦と迦楼羅も遠い目をしている

「…もうぅ~…いいよ!! 僕が行く!!」
悠助は頬を膨らませると走り出した
「あ! こら悠!!;」
「…うすけ!!;」
「栄野弟!!;」
三人が同時に悠助を呼び止めようと声をあげ後を追いかける
「ばっかお前死ぬ気か!?; 殺されるぞ!?; 場の空気読め!! 場の空気を!!;」
京助が悠助を捕まえた
「離して!! 喧嘩は駄目なんだよぅっ!! 喧嘩~!!」
ジタバタと腕のなかで暴れる悠助を京助がしっかりと押さえる
そんな悠助を見て迦楼羅と制多迦が顔を見合わせると深く溜息をつき何やら気合を入れた
「…行くぞ;」
迦楼羅が言うと制多迦がコクリと頷いた
「…あ…おい…鳥類?;…制多迦…?」
バチバチしている空気の中に向かっていく制多迦と迦楼羅に京助が声をかけた
「…ご武運を…;」
京助がボソっと呟いた
「そのピョン毛前より成長したんじゃない? そのうちなにか釣れるかもね」
「釣れたらいいですね。それは楽しみですよ」
「釣れたら是非僕もソレほしいんだけど」
「誰がやりますかってんですよ」
顔はにっこりとしかし回りの空気はオドロオドロしている
「…覚悟はいいか?;」
でろでろと渦を巻くオドロオドロした空気を前に迦楼羅が制多迦に聞いた
「…ん;」
制多迦がコクリと頷き返事をすると『せーのっ』という感じにオドロオドロした空気の中に入った
「…け…乾闥婆(けんだっぱ);」
「…んがら…;」