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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第三回・四 】学び舎の誘惑

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「だはははははは!!!」
付け毛を外してスカートのまま芝生に胡坐をかいた南の笑い声が校庭横の倉庫裏から高らかに響いた
「なんつーか…ご愁傷様だよなぁ…ソイツ」
中島が食べ終わったパンの袋を丸めながら言った
「触ったのが男の尻で? しかも蹴りくらって吹っ飛んで? …ブクスー」
坂田が妙な噴出し笑いをして口から何か出した
「汚ねッ;」
中島が声を上げると坂田が口をぬぐいながらまた笑い始める
「だってッ;…ぅあぁ~…思いだしたら鳥肌立ってきたっちゃ~…;」
緊那羅が腕をさすり泣きそうな顔をする
「後処理はどうしたんよ?」
ヒーヒーいいながら南が広げてあるお菓子を摘んだ
「知らん; 俺らずっと視聴覚室に隠れてたし;」
京助が箸をくわえて空になった弁当箱の蓋を閉めた
「結構騒いでたよな~…俺ソイツが白目むいて人間タンカで運ばれていくの見たぞ」

【解説しよう。人間タンカとは4~6人の人間がそれぞれ頭、足、そして胴を持ち運ぶという人肌MAXの運び方のことをいうのである】

「羊子もうお嫁にいけないな」
坂田が寝そべりながらからかう
「京助にもらってもらえ」
中島が後追いからかうと京助が箸を中島の額に刺した
「俺なんか朝からスカート捲られまくり~のケツ触られまくり~のなんだけどな。いやぁアイドルはツライねぇ~」
南が困ったような顔をしてヤレヤレと首を振った
「お前は自分から見せてるんじゃねぇか;」
京助が突っ込んだ
「サービスサービスぅ」
南が足を上げると坂田と中島、京助がそろって南をどついた
「昼から俺ヒマになるから学校内案内してやるからさ」
京助が今だ腕をさすっている緊那羅に言った
「俺らんトコに遊びに来てもいいし? 俺と中島は演劇にいるし坂田は放送にいるし…いなかったらクラスの方にいると思うからさ。こいよ」
そういって南が付け毛をつけた
「あ…うん」
そろそろ昼休みも終わるということで一同立ち上がり校舎に向かう
「んじゃ帰りにな~」
3馬鹿と別れて京助と緊那羅は歩き出した

「さぁてと…どっからいきますかねぇ…」
この先は廊下と階段で3つ股にわかれている
「なぁどこに…緊那羅?」
どっちに行きたいか聞こうと緊那羅を振り返ると緊那羅が左側の廊下を黙って見ていた「そっち渡り廊下だぞ? 行くのか?」
「…音…」
京助の声が聞こえたのか聞こえてないのか緊那羅はただ黙って渡り廊下の方向を見ている
「あ、おい緊那羅!!;」
緊那羅が小走りで駆け出した
京助も慌てて後を追う
「どうしたんだよッ;」
追いついて京助は緊那羅の手をつかんだ
「音が…聞こえるんだっちゃ」
緊那羅が言った
「おとぉ?;何の;」
つかんだ手を離し京助は耳を済ませたが周りの生徒の話し声とかしか聞こえなかった
「泣きそうな音が…笛の音…」
辺りを見回して緊那羅が笛の音を探す
「笛…って縦笛か? それとも吹奏楽か…だから待てってば!! オイっ;」
再び駆け出した緊那羅を再び京助は追いかけた