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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ファントム・サイバー

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 冷たい風が煙を掻き消した。
「ディザンド!」
 またあの少女が力を使った。
 黒い稲妻が宙を奔り、あたしは瞬時に伏せた。
 この部屋にある機器が次々と火花を上げてショートする。あんな稲妻に当たったら丸焦げになっちゃう。
 稲妻は大狼君に襲いかかろうとしていた。
「ファイアウォール!」
 稲妻と?壁?が激突して、閃光が目を眩ます。
 ガラスの割れるような音がして、あの?壁?がついに弾け飛んだ。
 それとほぼ同時に部屋が停電になって、あたしは今しかないと全速力で駆けた。
 暗闇の中でサイバースコープをつけている大狼君は、あたしの存在に気付いたように顔を向けた。
 あたしの方が早い。
 大狼君の胸を平手で突き飛ばし、そのまま地面に叩きつけて馬乗りになった。
 部屋の明かりが一斉に点く。
 あたしの握った刀の切っ先は大狼君の咽喉を突きつけていた。
「貴様がいなくなればすぐにでも黒い狼団は壊滅する」
 あたしはより切っ先を突きつけた。
「ここでやられるわけにはいかぬ!」
 大狼君の拳があたしの腹に喰い込んだ。
「クラックパンチ!」
 激しい痛みと衝撃がお腹を抉り、あたしの身体は大きく後ろに飛ばされてしまった。
 歯を食いしばりお腹を押さえるあたしの視線の先で、すでに大狼君は背を向けて逃げようとしていた。
「次に会うときは両腕で相手をしよう、ハハハハハッ!」
 大狼君はパソコンの画面に飛び込み姿を消してしまった。
 あたしに追い詰められたから逃げたんじゃない。きっとあの少女の力を危惧して逃げたんだと思う。
 早く大狼君の後を追わなきゃ……。
 あたしはレイたちと顔を見合わせた。独りでも行かなきゃ。
 あの画面の先にはどんな世界があるんだろう?
 もしかしたら大狼君が罠を仕掛けて待っているかも知れない。でも、ここまで来たら行かなきゃ。
 だいじょぶ、あたしなら平気。
 あたしはレイたちを置いて、パソコンの画面の中に飛び込んだ。