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第一章一話 墨田燈瑚の出兵

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翌日工場長から承諾することを告げて二週間後俺は出兵することとなった。
町内の人々が駅までお見送りに来てくれた。
「墨田燈瑚君出兵おめでとう!ばんざい!ばんざい!ばんざい!」
「ありがとうございます!お国のため、天皇陛下のため、そして父上と兄上のために頑張ってきます」
母さんが作ってくれたおにぎりはとてもおいしそうで、寒い地域に出兵する俺のために防寒具を作ってくれて・・・いっそう涙ぐんだ。
妹の千種はお守りといって自分が大切にしていたお人形を渡してくれた。いかにも女の子風の人形で照れくさかったけどうれしかった。
兄貴とは家でたくさん話をして別れたけどもう一度会いたかったなぁ。
そして出発の時間になりガタンガタンと少しずつゆれ始めた。
万歳の声がたくさん聞こえた。
母さんと千種がぎりぎりのところまで走ってくれた。
「燈瑚、身体には気をつけるのよ。無茶はしないでね。」
「わかったよ、母さん。」
「手紙ちゃんと書いてね。母さんも送るからね。」
「わかったよ、母さん。」
「絶対に帰ってきてよ。絶対よ!」
そして本当の別れとなった。
「お兄ちゃん!」
「燈瑚―――――――――――――――!!」
「母さーーーーーーーーーん!千種――――――――――――!」
俺は2人の姿を焼き付けるかのようにずっとずっと見えなくなるまで手を振り続けた。