第一章一話 墨田燈瑚の出兵
電車がゆらりゆらり一緒に席に着いた友達とおにぎりを食べながら工場の話をした。
その時だった。
「なぁ、墨田。軍歌が聞こえないか?」
「え?」
梅に桜にまた菊に いつも掲げた日の丸の
光あおいだ故郷の家 忠と孝とをその門で
誓って伸びた健男児
「あ・・・・兄貴!!!」
俺は電車に身を乗り出して兄貴を呼んだ。
「!!燈瑚!燈瑚!」
兄貴はつたない歩きをしながら電車を追いかけた。
「兄貴!無茶するな!」
「墨田燈瑚!万歳!万歳!万歳!万歳!」
兄貴は大きな声で万歳を言っていた。
「兄貴・・・兄貴!兄貴!兄貴!俺絶対に帰ってくるからな!兄貴も病気に負けるなよ!」
「あぁ!あぁ!私も頑張るからお前も頑張れよ!頑張れよーーーー!」
そして電車は九重港について俺は戦地へと向かった。
作品名:第一章一話 墨田燈瑚の出兵 作家名:sanze1991