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第一章一話 墨田燈瑚の出兵

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その日二番目の兄貴に呼ばれた俺は兄貴の部屋へと行った。
兄貴は真剣な目をしていた。
「燈瑚・・・・お前赤紙来たんだってな。」
「なんでそれを・・・」
「父上が行き、兄上も行き、次はお前か・・・・行くのだろう?」
「兄貴、俺は」
「家のことは私に任せなさい。最近は身体の調子もいいんだ。お医者様も良好に向かっているとおっしゃってくれている。」
「だけど兄貴またいつ体調崩すか分からないじゃないか!無理してまた悪くなったら・・・・俺は絶対に行かないからな!父さんと兄貴から家を任されたんだから」
「燈瑚は本当にやさしい子だな。」
そういって伏せている俺の頭を撫でた。
「燈瑚が毎日鍛錬していることは私も知っているし母上も知っている。」
「え・・・」
「仇をとりたいのだろう?自分の気持ちに嘘をついてはいけないよ。お前の気持ちに私も母上も妹も賛同するよ。」
「俺・・・本当は2人の仇をとりたい・・・だけどそれと同じくらい母上と兄貴と妹を守りたい気持ちがあるんだ!」
すると母がやってきた、
「燈瑚、これ。」
母は俺に千本針を渡してくれた。
「これ・・・・なんで」
「町内の皆さんに協力してもらったのよ。稔(みのる)も千種(ちくさ)も協力してくれたのよ。」
「え。兄貴と千種が・・・・・」
俺は涙がぽたぽたと流れた。
2人が俺のために一生懸命やってくれた・・・・・
そこで俺は決心した。
「兄貴、母さん、俺、2人の仇をとって帰ってくるから・・・・絶対に帰ってくるから、行かせてください。」
そういって頭を下げると2人は笑って賛同してくれた。