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第一章一話 墨田燈瑚の出兵

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俺こと墨田燈瑚(ひこ)は州橘(すだち)国民学校高等部の学徒だったが
学校が空爆されて男子は家の近くにある軍事工場で働いている。
毎日朝早くから夜遅くまで爆弾や銃を作っていた。
そんなある日のことだった。
「墨田、お前は本当によく出来る奴だ。」
「なんですか?突拍子に」
そうすると工場長は懐から一通の紙を出して
「墨田燈瑚殿。あなたに召集令状が届きました。」
赤紙か。
「すみませんが俺は兵隊になる気は・・・・」
そう、俺は兵士になる気はさらっさらない。
なぜなら俺の父さんと一番上の兄貴が戦死したからだ。
二番目の兄貴は身体が弱いため除名されている。
後は母と妹がいるだけで使える男は俺だけなのだ。
父さんと兄貴からこの家を頼まれたのだからそれを果たすのが俺の義務。
「墨田、お前の気持ちは分かる。お父上とお兄さんが戦死して複雑なのだろう。しかしお前のその力を戦死した二人の敵を討とうとは思わないのか?」
「仇を討ちたい気持ちはあります!だけど・・・・病弱な兄貴を残していくのは気が引けるのです・・・兄貴は自分が行けないことをとても悲観してますから。」
その日はそれで終わったが数日後思いもよらない展開が起こったのだ。