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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第三回・参】無視から始まるサバイバル

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デン! とそびえる大きな木製の無駄にでかい門の前に来ると坂田が速度を落した
ハァハァと荒い息をしながら門を睨みあげる
【坂田】
そう書かれた古い木の表札が柱に打ち付けてある
そうここは坂田組の本拠地兼坂田の家である
息をある程度整えてでっかい門の横にある小さな出入り口に手をかけ開けようとした時さっきまでの自分と同じように鞄をガチャガチャいわせながら走ってくる南が目に入った
「…南…」
一旦開けようとしていた出入り口から手を離しかけてくる南の方向に体を向けた
「さ…坂田…っ…おいてっちゃ…いっや…ン;」
南はゼーゼーいいながら坂田の肩に手をかけて息を整えようと必死になっている
「…御老体…」
坂田がそういって南の背中をさする
「やかましい…;」
肩で息をしながら南が言った
「…どうして来た? 何されるかわかんねぇのに」
坂田が南に聞いた
「んな…当たり前のこと聞きなさんなよな…;コチトラ話すの辛ぇんだから…」
だいぶマシになってきたがまだ苦しそうな南が半ば呆れ顔で答えた
「…お前が俺の立場だったら…どうよ?」
ニッと笑って咳をした南の背中を再度さすりながら坂田は少し考えた後笑って
「…家帰って無双る」
そういって南の背中をパシッと叩いた
「ひっでぇの」
南が腰に手を当てて伸びをし笑った
「しっかし…なんで京助なんか拉致監禁したんだ?」
汗で額にくっついていた前髪をかきあげながら南が門を見上げた
「…俺のせいだと思う」
坂田が呟いたその時だった
門の横の出入り口が開いてスーツに身を包んだ【いかにも】な組員が顔を出した
「…若…。…!! 若が帰ったぞ-----!!」
一瞬坂田と目が合って沈黙していた組員だったが大きな声で叫ぶと坂田の腕を掴んだ
「な…離せッ!」
坂田の腕を掴んだ組員は坂田の腕を掴んだまま出入り口から中に連れて行こうとしている
「坂田!! …んのヤロっ!!」
南が組員に体当たりすると組員がよろけて坂田がするりと逃げ出した
つかまれていた腕がほんのりだが赤くなっている
「逃げろ坂田!!」
体当たりしてコケた南が坂田に叫んだ
「阿呆!! 俺が逃げたら何しにここに来たのかわかんねーだろがッ!;」
「…あ、そうか」
坂田と自分は京助救出に来たということを南はすっかり忘れていたらしい
坂田の一言で思い出しポンと手を叩いた
「うぉわッ;」
さっき体当たりをくらわせた組員が南の首に腕を回して捕獲した
「南!! …南を離せ吉川!! 用があるのは俺になんだろ!?」
吉川と呼ばれた組員は南を離す様子はない
「…俺男に抱きしめられても嬉しくねぇ…;」
南がボソッと呟いた
出入り口からもう一人組員が現れ坂田に近づく
「若、組長がまってやす」
坂田がにらみ返したが組員は動じず先ほどの吉川同様坂田の腕を掴んで引っ張った
「坂田!! …っきしょ…離せって!! たくらんけ----ッ!!;」
「坂田------ッ!! 南------ッ!!」
南の怒鳴り声と重なって聞こえた中島の声
もの凄い勢いで激チャリしてくる中島の後ろには緊那羅が立ち乗りしていた

【解説しよう。激チャリとは激しくチャリンコをこぐという事の省略形である】

「…中島、背中借りるっちゃ」
「は? の…ッ;」
緊那羅は中島の背中に足をかけると思い切り中島の背中を踏んで飛び上がった
中島の後ろから緊那羅が消えたと思った次の瞬間