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剣道部と風に揺れる相思花

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1章 悪戯と喧嘩、いつもの日常。


秋風が心地よい中 庭園のススキがのどかに揺れ、涼しい風が吹き抜ける。

でもこの剣道場には そんなのどかな、涼しい空気は流れない。

「おいっ!蒼っ!!このメニューどうゆーことだ!!」
山神先輩の指差す先には・・・

『打ち込み   4分
 地稽古    2分15回
 掛かり稽古 20秒3周 』

というあからさまに無茶振りなメニューがホワイトボードに西篠先輩の殴り書きで書かれている。

「練習試合前日に殺す気か!」
その通り、明日は一年生にとっては初めての、そして新チーム初の練習試合を控えているのだが・・・

「はぁ?何言ってんだよ山神。このくらいで死ぬわけないだろ!アホ!!」

「てゆうか、お前は人の意見を聞け!こんなのやりたい奴いんのかよ」

「ここにいるし!」

「ふざけんなぁ!!」

この二人の喧嘩は今となってはもう恒例のもので一年生の視線から見ても今更驚くようなことではなかった。
そして恒例の喧嘩と言えば、もう2パターンほどあるのだが……

「ちょっと!!山神!西篠!うるさいんだけど!」

「「ハァ?」」

2人の声がぴったりハモったと同時に西篠先輩、山神先輩と絵美先輩の喧嘩が始まった。これもいつものことであり、当然のこととなっている。
剣道場の外で鬼ごっこ状態となった3人の喧嘩は今更誰も気にしない。あまり気にしすぎると巻き込まれることが目に見えていた。
こんなときやるべき事は一つ。

「笠間!ホワイトボード消しどこー?」

「太鼓の下!!早く消さないと戻ってくるから西篠先輩!!」
「あった!ういしょっと」

我ながらおばさんクサッとか思いながらホワイトボード消しを拾い、書かれていた無茶振りメニューをホワイトボードから消してゆく。

「あっ 清尾!!西篠先輩来たっ」
「マジで!?逃げろっ。」

まだ綺麗には消せていないホワイトボードを放置して、一年の皆のところへ滑り込む。

「セーフ!!」
「おっしゃっ!」
「やったぁー!!」

一息ついたそのとき、

「バタンッ」

ドアに開く音、慌てて掃除用具や扇風機の入った収納に逃げ込む。

「ちょっ誰だよっ!俺の上に乗ってる奴!」

「痛いって~扇風機なんでこんなとこあんだよ」

「マー君邪魔!どいてってば!!」

倉庫の中は真っ暗で隙間から入ってくる光だけで、かなり暗い。急に逃げ込めばぶつかるのは当たり前だった。

「あっ!静かに!!西篠先輩の反応聴こうよ。」