剣道部と風に揺れる相思花
序章 純潔の花の回想
私は今まで、なにしてきたんだろう?
小学校までは少なくともろくなことなかったし、いじめられたりもした。
何より私は泣き虫だ。だからアニメやマンガ、小説の世界に引きこもるようになった。
強がって、人に好まれようと、笑わせようと。
仮面をかぶった道化師になっていった。
アニメの話は結構反応が良くて、そのことをかなり話していた。
いつの間にかヲタクって言われるようになって、BLとか好きになった。
そのことから同じ趣味の大切な友達ができて、いじめとかもなくなって、
クラスの人とかと普通に話せるようになった。
それでも、泣き虫は治らなかった。強くなりたいって思うようになった。
そして中学入学し、『剣道部』に入った。強くなりたかったから。
アニメの中に出てくるキャラが剣で戦ってるところで、というのもあるけど
なによりも、部活動紹介で打ち合う先輩達を見て
ただ純粋にかっこいいと思った。
こんな風になりたいと思った。
そしたら、女子一人だった。
こんなことあるんだなぁ、ってなんか感心してしまった。
先輩達は色々気を使ってくれているけど、
私は女子一人で逆に良かったと思う。
女の子の仲というのはいまいちよくわからない。
男子みたいにあっさりしてないから。
裏でぐちゃぐちゃしてて、愚推ばかり。
ホントにめんどくさいから。
でもそんなこと言っても、
「そんなことないでしょ」って、
「無理しないで」って、
おまけに男子の先輩からも無言のおかしな特別扱い。
しばらくしたら、3年の先輩が引退した。かなりいい試合成績で。
そして始まった山之中、新チームの短い時代。私達の始まりの時。
私の本気で、全てを剣道に捧げた中学時代の幕開けのとき。
始まりのは雲ひとつない青空。13人でのスタートを祝福するかのように。
作品名:剣道部と風に揺れる相思花 作家名:成瀬 桜