小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

　絵美先輩の試合が終わってから、また喧嘩が始まって。
窓枠に座って、物思いに耽っていた。

ここから見える景色は綺麗で、何かしら嫌なことがあるとここで物思いに耽る。
こんなことを毎週している気がする。

最初の方はこんなに来なかったのに。
日がたてばたつほどここに来たくなる。

先輩にも、誰にもいえないけど、
やっぱり1年の女子一人だとちょっと複雑な感情も多い。
気を使ってくれているのは痛いほどわかる。
でも、それが逆に辛い。一年は同じ扱いで居たい。

この窓枠に座ると、庭園内のベンチが見える。
よく絵美先輩が怒ると、あの男子は庭園のベンチに居る。
屋根もあって、手入れも行き届いてる。

　前は秋桜が咲いていた。今日は真っ赤な彼岸花。
キャラじゃないのもわかってはいるけど、
花言葉とか、花についての雑学は結構好き。
彼岸花は花と葉が一緒に出ることは無い。
だから、韓国では『相思花』とも呼ばれているらしい。
個人的にはこっちの名前の方が良いと思っている。
そっか、もう相思花が咲いたのか。あっという間に秋になってる。

中学に入ってから時間の経過が速い。
誰かにリモコンかなんかで倍速にされてるみたいに。


「なにやっとんじゃアホッ！」
庭園からも聞こえてきた大声。西篠先輩がまた怒ってる。
今は練習試合のときの態度のことで怒られてる。
西篠先輩は怒ると“アホッ”しか言わなくなるし（しかも何故か関西弁に）、声も良く通るから離れてても聞こえる。

いつもこうだ。大抵あたしが絡んでいると扱いに違いが出てくる。気を使ってくれているのは痛いほどわかる。

でも、それが逆に辛い。一年は同じ扱いで居たい。一年女子は私だけだから、絶対に抜けさせられない。そう思っているんだろう。

そんなこと覚悟で私は剣道部に居るのに。・・・困ったものだなぁ。まぁ、おいしいポジションではあるが。



「ガシャン！！」


後ろからの音。まさか誰かスポーツドリンク倒したのか？毎回作るのは私で片付けるのは私と細谷。
前にもあったなぁ。山神先輩と西篠先輩が喧嘩中にひっくり返して…。

「ん？」
男子はみんな西篠先輩のお説教中。
多井先輩たちがひっくり返すか？そんな訳がない。ひっくり返すとしてもあんなにおっきい音立ててひっくり返すわけが無い。

あとは、絵美先輩か。あの人ならひっくり返すかもしれない。
確かスポーツドリンクはベンチの上に置いといたはず･･･。ホントに手の焼ける先輩だ。
「絵美ぃ！？」
沖名先輩のヒステリックな大声。おいおい。
なんかミステリーとかに出てくるワンシーンだ，これじゃあ。

「どうしたんですか？築地に出荷されましたか？」
窓枠から離れ、ベンチの方に。地味に遠いんだな、これが。
息が少し乱れていたが着いてみると・・・

「絵美がっ！清尾ちゃんどーしよう！！」