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エベレストは昔海だった(コラボ作品)

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 雰囲気を和らげるためにも、提案してみた。
「少なくとも2週間ここにいなければならない。とすればその間、この先の探検に出るというのはどうだろうか」
「こんな気持ちで探検に出るなんて、できません。きっと事故るでしょう」
「大橋、君の気持は分かる。だが、ここでじっとしているだけでは、それこそ落ち着かないんじゃあないだろうか。せっかく与えられた時間、有効に使ったほうがいいと思う。そのほうが気も紛れるだろう? 吉田はどう思う?」
 三上がリーダーらしく、皆の気持ちを引きだしてくれている。
「2週間で救助は来るでしょうか? 食糧は1か月分ですよね。だったら、大井戸にルートを付ける、という手もあるでしょう」
 吉田の意見に水を差さねばならないのは心苦しいが、あえて言った。
「水がね、そんなにないんだよ。洞窟の中には湖が付きものだ。そこで補給できることを前提に計画を立てているからね。もし見つからなくても、水は上から補給してもらうことになっていた」

「ふたつのグループに分かれて・・登攀組と探検組と」
「いや、たった4人だ。ふた手に分けてしまうのは危険だと思う。一緒に行動すべきだよ。通信手段を無くしてしまったんだから」
 ぼそぼそという大橋の言葉に、三上は強く言い返した。キッと顔を上げた気配の大橋。
「僕はここから離れたくないんです。ここで食糧や装備の見張りをしてますよ」
「なにから守るというんだね」
「さっきの虫みたいなのが出てくるかもしれないじゃないですか!」

「大橋君、落ち着きなさい。やはりここでは皆が一緒にいるべきだと思う。ここがどんな所なのかを知ったほうが・・・別の出入り口が見つかるかもしれない」
 自信はないが、大橋を落ち着かせるために言った。
「僕は・・・僕はこわいんです。もしこのままずっとここにいることになったら・・・僕はここで死んでしまうかもしれない」
「大橋、一緒だよ、俺も怖い。だがやはり一緒に行動しようぜ」
「そうだ! そのほうが皆安心なんじゃないのか」

 三上、吉田の言葉に涙がにじんできた。そっとそれをぬぐった。
「三上、大橋、吉田、皆でひとつだ。一緒でないといけない。それにはこうして意見をぶつけることも大切なことだ。心にわだかまりがあっては事故を起こす要因となる。その上でどうだろう大橋、共に生きていくために一緒に行動してくれないか」
 大橋は黙っていた。
「1週間。1週間で行ける所まで行って引き返そう。それから思ったことは表に出す、決して一人で思い悩まないこと、いいね」
「大橋、それでいいよな・・・」

 三上は立ち上がって右手を前に差し出した。皆も立ち上がり右手を差し出して重ねていった。
「よーし、一致団結、生きて帰るぞう!」
「お―っ!」