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エベレストは昔海だった(コラボ作品)

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 海は広かった。3度目は2週間の航海となった。
 鬼子たちが住む場所の半分程度の草地を見つけて上陸した。
 他に生物がいるかもしれない、という期待はあったが、そこには植物が一面に茂り、いるのは小さな虫や爬虫類であった。

「これはこれは・・・この植物を持って帰って栽培しよう。この実は腐ったような臭いがするね。酒が造れるにちがいない」
 私は根こそぎ引き抜いて袋に詰めた。実も集めにかかった。


 それ以降、航海は彼らに任せっきりにした。代わりに茜と穂高が交替で乗り込むことができるようになり、喜びのあまり抱きついてきた。
 船は少しずつ改良されていき、魚の浮きを利用して短時間の潜水ができるようにもなっていた。

「水が流れた跡、川があった跡を見つけたら、そこを遡ると外に出られるかもしれない。チョウザメはね、外の世界から水に流されてきたと思われるんだよ。それらしき痕跡に目を凝らしてくれ」

 三宅は子供たちに、船の仕組みや操縦法などを教えるのが、実に楽しそうだった。船造りは彼に合っていたのかもしれない。海中探検にも夢を膨らませていた。

 来る日も来る日も酒造りに熱中した。採取してきた実は黒っぽく『酒の実』と名付けた。翌年には豊富な実を付け、それを種々の条件で熟成させると、ついに完成したのである。

「どうだ、飲んでみてくれ」
 匂いを嗅ぎ、舌をチロッと付けていた3人は、貝殻に注いだ少しの酒をグイッと飲みほした。

「ん〜まい!」
「あぁ〜久しぶりの酒だぁ〜」
「先生、ついにやりましたね」

 彼らのお墨付きをもらって量産し、鬼子たちにもふるまった。
 一部の鬼子は酒をもっと飲みたがり、有頂天になって造り続けた。