小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

エベレストは昔海だった(コラボ作品)

INDEX|22ページ/35ページ|

次のページ前のページ
 

〔松本博〕

 ここに来て1年近くになるのだろうか。
 いつの間にか大橋と吉田に子供ができていて、誕生するまで全く気付かなかった。三上にもまもなく子供が生まれるという。

 家族を持つのはもうこりごりだ。
 美也子とは山で知り合って結婚をした。
 孝史と強が生まれ育児に勢出している間、私が山へ行こうものならいつもイヤミを言われた。
 ふたりが長じるにつれ、教育熱心さから子供中心の生活となり、私など見向きされなくなっていた。すでに冷めてしまった食事をチンしてひとりで食べ、終わったら洗い物までしておくという有様だ。
 孝史も強も幼いころは一緒によく出かけたものだが、中学生ともなると口をきくこともなくなった。
 私はただお金を運ぶロボット。いやお金は振込だから給料を得るありがたみなど分かろうはずもない。
 私が死ねば保険金が入る、と喜んでいることだろう。

 大学では研究室を預かっていたが、芳しい成果は上がっていない。
 この探検によって、世界を驚かすほどの成果を得た。これをどのようにして発表しようか、と時々思うのだが、現実は・・・

 今はいろいろと工夫をして、いろいろな物を作り出しているが、酒は原料となる物が手に入らず、うまくいかない。
 ひとり用の舟で近くを回ってみようかとも思っている。