エベレストは昔海だった(コラボ作品)
男の事情と情事
〔大橋祐樹〕
足を怪我した僕はその後熱が出て、2日間意識が朦朧としていた。
その間ずっとかあさんがそばに付いて、手を握っていてくれた。
何か食べないと治らないよ、と言いながら僕の体を抱え起こして、スープを飲ませてくれた。そして体をさすってくれた。
いつ家に帰ったんだろう、と不思議には思ったが、かあさん、と呼びかけていた。
意識がしっかりしてくると、かあさんは、いなかった。
ああ、水に流されて崖から落ちたんだ、だれかに負われてここに連れてこられたんだ、ということを思い出した。
頭を動かした。すると彼女が、ニッ、と笑って僕の体をさすってくれた。
股間もやさしくなでてきた。ぎょっとしたけれどされるがままにしていた。なでられたところは血流が良くなっていくのが分かる。恥ずかしい気持ちが湧いたけれど、違う人種だし、すぐに出ていくんだし、という思いでいた。
次第に気分がたかぶり我慢できなくなって・・・彼女は口で受けてくれた。彼女の緑のシグナルは、ゆっくりと瞬いていた。
翌日、気分はすっかり良くなり傷口もふさがっていたが、足を動かすとまだ痛みが残っていたのでもう1日寝ていることにした。
そして、もう帰れない、ということを知った。船を作ってみよう、ということだったが、いつになることやら。
ここで暮らすことにしよう、だって?
彼女に名前をつけなきゃ・・・マリア。
マリアは今日もやってきて、体じゅうをさすってくれた。今度は、彼女の体で受けてくれた。
作品名:エベレストは昔海だった(コラボ作品) 作家名:健忘真実