エベレストは昔海だった(コラボ作品)
電子工学が専門の三上は、ここで手に入る物で工夫した船を考える、と言っている。
吉田と大橋は、鬼子たちの仕事の手伝いをしている。海に潜ったり、苔の栽培と収穫などだ。それと飲料水を作ることもある。
若い頭脳は光信号の意味を素早く理解していった。一方、言葉、日本語を教えようと努力もしている。
住民は150人ほどか。ほとんどが男ばかりで女性が極端に少ないのは、近親婚のためだと思う。種を存続させていくには500個体は必要だろう。
結婚にあぶれた男たちはここを離れ、洞窟の出口を見つけた者が嫁を求めてヒマラヤ山中を歩いていたのかもしれない。雪男といわれた所以だ。雪女は怪談の世界だ。
私は何をしていたかというと、ここの文明に貢献となることだ。
まず、火、だ。雪男とチベット人の女性、そして3人の子供がいた洞窟を出てから見つけた水晶。ズボンのポケットに無事に残っていた。これは火打石となる。
魚肉から絞り出した油に苔を使って火を付ける試みを何度も繰り返して、火を得ることに成功したのである。
これにより、今まで以上の明るさと暖を得られた。
次が魚醤油。魚を塩漬けにして自然発酵させるとできる。臭みはあるが、うまみと栄養たっぷりの醤油だ。味の革新である。食に広がりを持たせることができた。煮魚もおいしく食べられる。鍋代わりの貝殻がいくらでも手に入るのだから。
そして筆記具だ。ノートとペンは尽きかけている。そこで魚の皮のゼラチン質から工夫を重ねて紙の代用品を作り出し、削った骨とイカの墨でペンを作り出した。
作品名:エベレストは昔海だった(コラボ作品) 作家名:健忘真実