エベレストは昔海だった(コラボ作品)
そこにはひと塊となった骨があった。
頭骨をみると哺乳動物・・はっきりといおう、大きさからいっても人間のものらしい骨なのだ。しかも生活の後がある。
一体の骨だけが衣類を纏っていた。チベット民族が着用しているものと同じだ。女性らしい。家族だろうか、子供らしき骨が3体分。
「こりゃあ、雪男という者が本当にいたのかもしれないぞ。世紀の大発見だ。地上に出たら大々的に発表しよう。世界中びっくりするぞ。雪男捜索隊を組織して、私は隊長として生きた雪男を捕らえるぞ」
私は興奮のあまり、周囲のことに気付かなかった。
「先生、残念ながら、それはかないそうもありません」
「出口が塞がっているんです」
出口に通じているのであろう所から3人が溜息まじりに告げてきた。
「そんなばかな・・・じゃあ、彼らはどのようにして生活していたというんだね」
「この先に出口らしきところはあるんですが、岩や土砂で塞がってるんです。風はそこから吹き込んでいます。明るさもありますから、そこが外でしょうね」
「そこから出ることはできないのか・・・」
「地震があったらしくて、山自体が崩れたのでしょう」
体から力が抜けていくようだ。ボーッとしながらつぶやいていた。
「ここは中国側らしい。昨年のチベット地震によるものかもしれない」
気落ちはしたが、写真を撮った。
男とおぼしき頭骨には中央に長い突起がある。女と思われる骨は、まさしく人間のものだろう。雪男と人間の女との間に3人の子供。性別は不明。
火を使用していたらしい。獣や鳥や魚の骨が一カ所に集められていた。
魚の骨、それも結構大きそうな魚とは不思議な気もするのだが。
作品名:エベレストは昔海だった(コラボ作品) 作家名:健忘真実