エベレストは昔海だった(コラボ作品)
5日目。
昼夜はないので時計でしか時間経過が分からないが、体のリズムとは不思議なものである。空腹や眠気は、自然とほとんど同じ頃にやってくるようだ。
寒いというほどではないが、宇宙食ばかり続くと、火を使った温かい料理を食べたいものである。食べることは腹を満たすだけではなく、それ自体を楽しむためのものだと分かる。4人で話をしながら食べていても、すぐに食べ終えてしまうからなぁ。
タァーさんとの酒盛り、もうずっと昔のような気がする。
「おい、風を感じないか!?」
先頭を歩いていた三上が立ち止まって周囲に目をやっている。
「ホントだ。きっと地上に通じてるんだぜ」
吉田は指につばを付けて上にかざした。
「こっちだ!」
吉田が向かった先には小さなトンネルらしきものがあった。這いつくばって通れるぐらいの穴である。
「中に入ってみてきます」
しばらくすると吉田の声が響いてきた。
「おお〜ぉいぃみぃんな〜ぁ、荷物ぅを〜ぉ置いぃて〜ぇ来てぇ〜くだぁさい〜ぃ」
私はお尻を壁にひっかけながら、下から押してもらい、上から引っ張られて、やっとトンネルを抜けた。
「こりゃ・・・こりゃこりゃこりゃ」
言葉が出てこない。照らし出された物を見て目をみはるばかりだ。
作品名:エベレストは昔海だった(コラボ作品) 作家名:健忘真実