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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第三回・弐】玉。

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「な…ッ!!?」
再び怒鳴りそうになったが緊那羅に頭をなでられながら泣いている悠助が目に入り怒鳴るのをやめた
「…悠をあんまり泣かせたくないんだ…」
京助が聞き取れるか聞き取れないかの声で言った
「母さん昼間は神社の仕事で家にはいないし、俺は学校で悠より帰りが遅いだろ? 悠はずっと『おかえり』って言ってくれるヤツが欲しかったんだ…その相手が何であれさ…」
自分が悠助くらいのときはまだ赤ん坊だった悠助のために母ハルミは神社に行かず家にいて京助が学校から帰るといつも『おかえり』という言葉が迎えてくれた
「緊那羅が来て…ヒマ子さんが家にいるようになって悠がすっげぇ嬉しそうだった」
迦楼羅が目を細め無言で悠助を見る
「…無垢だな」
ボソっとそう言い放つと迦楼羅は悠助に近づいた

「…か…りゅらん?」
ぐしょぐしょになった顔をあげて迦楼羅を見あげた
「迦楼羅…?」
緊那羅も迦楼羅を見る
「…えぇえい! 泣くな! 鼻水を拭け! たわけッ!!!」
迦楼羅が怒鳴りながら自分の服で悠助のぐしょぐしょになった顔をゴシゴシ拭いた
「かりゅらん~いたい~;」
もの凄い勢いで悠助の顔を拭く迦楼羅を止めるに止められない緊那羅はただオロオロしている

「あのテンちゃんは悠を新ジャガ芋か何かと間違えてねぇか?」
中島が言った
「一皮剥くつもりなのかしらん?」
南が中島に寄りかかりながらその様を見ている
「俺等あんまり突っ込めねぇなぁ…」
坂田がおさげを触りながら遠い目をした
「あんま関わらん方いいかもだぞ」
京助が呟いて縁側に腰掛け柱に寄りかかった
「…俺に近づくと怪我するぜ」
京助が3馬鹿を見上げてそう言って笑った
その言葉は3馬鹿には冗談にも本気にも聞こえたが今は前者にしておいて笑い飛ばした
作品名:【第三回・弐】玉。 作家名:島原あゆむ