【第三回・弐】玉。
「おそらくあの向日葵の鉢の中に宝珠があるのだろう」
「ヒマ子さんの鉢の中に? 何でわかるんだ?」
迦楼羅の推測に京助が突っ込む
「たわけ! 宝珠の力で動いたりしているとしか考えられんだろう! さっさと見てこんか!」
迦楼羅が怒鳴る
「お前もこいよ; お前のなんだから; 中島!」
京助が中島の名前を呼ぶと中島が迦楼羅を小脇に抱えた
「な…おぃ!; こら! 降ろさんか! たわけ!!! 降ろせって!」
「ハイハイ、いいこでちゅねー」
じたばたと暴れる迦楼羅を幼児言葉でなだめ(あおり?)つつ一同はヒマ子のいると思われる庭に向かった
「どこいくの~? 僕も行く~!」
皿を置いて戻ってきた悠助も坂田のパーカーを掴んで【ヒマ子の鉢の中にあるだろう宝珠を探せツアー】に参加した
「あら、皆様おそろいで…どうなさいましたの?」
庭で光合成をしていたヒマ子がゾロゾロとやってきたツアー参加者を見てきょとんとした
「あ~…ホラ京助!」
坂田が京助を肘で突いた
「なんで俺よ; 南!」
京助が南を呼ぶと南は顔の前で手を振って『パス』の合図をした
「…中島…」
中島は京助と目を合わせないように遠くを見ている
「緊那羅…」
緊那羅も中島と同様目を合わせないよう明後日の方向を見ていた
「京様?」
わけがわからないヒマ子が京助の名前を呼んだ
「さっさと聞かんか! たわけ!」
中島の小脇で迦楼羅が怒鳴った
「わーかったよッ!; 聞きゃぁいいんだろ聞きゃぁッ!;」
京助がもうどうにでもなれという感じで縁側にしゃがみヒマ子と目線を合わせると辺りがしん…と静まってサワサワという風の音だけになった
「…ヒマ子さん」
「はい?なんです?京様」
サワサワ…
「あの…」
「はい?」
サワサワサワ…
「その…鉢の中…」
「鉢?」
サワサワサワサワ…