キコ・キー
「ただいまー」
「キコ、ちゃんと帰ってる?」
両親がその日は珍しく同時に帰ってきた。
キコは手紙を大事に持って自室から居間へと両親の元に行く。両親の姿や顔を数ヶ月ぶりに見たような気がしてきた。
「おかえり」
「ただいま夜ご飯はもう少し待ってちょうだいね。パパがなんだかやっちゃいたいとか言ってるから……」
「あ、あのさ」
キコは手紙の存在を指で触ってしっかりと確認する。
「パパとママに謝りたくて……」
「どうしたのいきなり」
「この間、あんなことでケンカになっちゃったから……パパ、ママ、ごめんなさいっ!」
キコは頭を下げて居間で着替えや荷物の整理をする二人に謝った。
「キコ、」
母親はキコの元にやってくると下がっている頭にポンと手を置き「えらいっ」と撫でて寝室へ着替えに行った。次いで父親も少し恥ずかしそうに「お父さんもごめんなぁ」と肩を叩いて洗濯機の元へ洗濯物を置きに行った。
キコは予想をしていなかった両親の反応に驚き、おばあちゃんの手紙の一文を思い出したのだった。すると、途端嬉しくなってきて二人が居間へと戻ってくるとおばあちゃんの手紙を見つけたことを話した。そうすると自然に話題はおばあちゃんとキコの思い出話へと変わり
、両親が実はたくさんのキコについてのことを覚えていることに驚いた。
「そりゃ、娘だもの」