【第三回】金鳥・蚊取線香
「…は?」
辺りの空気が緩く溶けた
「プッ…あはははははは!!」
矜羯羅が笑った
「京助…;」
緊那羅が力なく呆れたように俯いた
「な…だってずっと気になってたんだよッ;」
「普通は変身というか着てるものが一瞬で変わったトコに驚くと思うんだけど…」
ヒーヒーいいながら矜羯羅が何気に突っ込んできた
どうやら本気で笑いのツボに入っていたらしい
「おもしろいね…京助だっけ? 僕君みたいな馬鹿嫌いじゃないよ。そうだ…知ってる? 緊那羅は音楽の腕前が凄くてね…歌声も綺麗なんだよ」
「…俺はお前みたいな意地クソ悪いいかにも悪役っぽいしかも顔のいい奴は大嫌いだ」
矜羯羅が『ね?』と微笑みながら緊那羅のほうに顔を向ける
確かに緊那羅の歌は上手かったと京助も矜羯羅に悪態をつきつつも緊那羅を見た
「…なんだっちゃ;」
少し照れているらしい緊那羅が京助をチラ見した
「あ、そっか…だから武器、笛なのか」
感心した様にまじまじと武器笛と緊那羅を交互に見て京助が納得する
「僕…久々に緊那羅の声聞きたくなっちゃった」
いつの間にこんな近くに来ていたのだろう
矜羯羅は緊那羅の顎をつかまえて顔をクッと上げた
緊那羅が矜羯羅の手を払うと後ろに下がる
「…声、きかせてよ緊那羅」
矜羯羅の回りに青い小さなあの玉が多数浮かんでいた
「…やっぱり【イイ性格】してるっちゃ…」
「本当だな」
緊那羅が武器笛を構えた
作品名:【第三回】金鳥・蚊取線香 作家名:島原あゆむ