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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第三回】金鳥・蚊取線香

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パァン!!!

やっと緊那羅が【その先の言葉】を言おうとして顔を上げた瞬間
京助が腰掛けた隣においてあったわたあめの袋が爆発(?)した
「な…ッ!?;」
京助が驚いて飛び退くと『クスクス』という何とも人を小馬鹿にしたような笑い声が聞こえてきた
「…そっちに決めたんだ」
自動販売機の上で足を組み、手で頬を支えて口元に笑みを浮かべる少年…といっても京助より年上に見える
「すぐ決めると思ってたのに結構時間かけてくれたね…まったく…僕待つとか面倒くさいの嫌いなんだよね」
はぁ、と大げさに溜息をついて意地悪そうに微笑むと顔の横に垂らしていた布を後ろに払った
「…お前性格悪いだろ」
京助が自動販売機上の少年を指差して言った
「僕? さぁね…どう思う? 緊那羅?」
少年の口から【緊那羅(きんなら)】の名前が出ると京助は緊那羅を見た
緊那羅は鋭い目つきで少年を睨んでいた
「…緊那羅…?」
明らかに【ボク等仲良し】的知り合いではないことがわかった
「… 矜羯羅…」
【 矜羯羅】と呼ばれた少年は初対面の時の緊那羅の様な不可思議な格好をしていた
【ボク等仲良し】的知り合いではなくとも関係はあるらしく…
「性格がいいんじゃなくて…【いい性格】してるんだっちゃ」
結局の所少年の性格はかなり悪毒で悪いらしい
緊那羅の手にはあの棒の様な物が握られていた
「ふぅん…僕とやろうての? 緊那羅。宝珠も持ってないこっちから戸も満足に開けられない君が? 僕と?」
矜羯羅がクスリと笑った
「…うっわぁ~…本当【イイ性格】してやがんの…」
そんな矜羯羅(こんがら)を見て京助は緊那羅のいったとおりだと思った
「まぁいいや…君たちががこっちに決めたなら…僕たちはいらないから…」
にっこりと笑みを浮かべて矜羯羅が京助を見、パチン! と指を鳴らした
京助の頬を何かがかすめて頬に軽い痛みを感じた
手をやると赤い血が手についた

「消すよ」
右の手首をくるっと返すと矜羯羅の5本の指の間に小さな青い玉が挟まれていた
さっき京助の頬をかすったのもおそらくその玉だろう
「…ヤバクナイデスカ?;」
『消すよ』おそらく、いや絶対本気で矜羯羅は京助を消す気だろう
それも笑顔で
頬を押さえながら後ずさりする京助の前に緊那羅が立った
「…京助…私が初めて京助に会ったとき【守る者か滅する者か】…そういったこと覚えてるっちゃ?」
矜羯羅から目を逸らさず棒の様な物を握り締めて緊那羅が聞いてきた
「…私は…決めたっちゃ」
緊那羅(きんなら)はゆっくりと振り返ると微笑み、そして再び矜羯羅を凝視した

「私は栄野兄弟を守る!」
矜羯羅を手に持っていた棒の様な物で指した
そんな緊那羅(きんなら)を矜羯羅は顔色一つ変えずにあいも変わらず笑みを浮かべて見ていたが
「兄弟って独り占め?」
とわざとらしく目を見開き肩を落としやれやれと言うように溜息をつく
「…独り占めは良くないよ? 緊那羅」
ピン! と矜羯羅が玉を緊那羅めがけて飛ばしたが緊那羅はそれを棒の様な物で弾くとその棒の様な物を口に当てた
高い音色が響いたと思った
京助が瞬きをしたのはコンマ何秒の間だろう
その間に緊那羅があの不可思議な格好に変わっていた
「緊那羅…お前…ソレ…」
京助は恐る恐る緊那羅に近づくと
「ソレ…笛だったんか…」