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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第三回】金鳥・蚊取線香

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「き…消えた…」
「帰っただけです消えたわけじゃないですから。さて…邪魔者はいなくなったことですし…栄野京助君…でいいんですよね?」
驚いていた京助に先ほど迦楼羅がしてきた質問と同じ質問を乾闥婆がしてきた
「そうだけど…だから何だっていうんだよ」
京助はさっき飲んだ【ソーマ】とかいうまずい液体のせいで舌がぴりぴりしていた
「…緊那羅は何か言ってませんでしたか?」
「緊那羅が…?」
【ソーマ】は本当に傷が治るらしい
緊那羅を見るとさっきまであった痛々しい傷がなくなっていた
「…別に何も…ただ俺と悠助を守るとか…」
傷は治ったもののまだ緊那羅の目は開かなかった
「…両方守る…ということは緊那羅め…やはり知ってたのだな」
迦楼羅が呆れたように緊那羅を見る
「緊那羅らしいといえば緊那羅らしいですけどね…でも…」
乾闥婆が京助を見た
腕と足に痣、頬に擦り傷、肩は…たぶん肩にも痣があるだろう
傷だらけだった
「今日みたいな事があっては守っているとは言えぬな」
迦楼羅が吐き捨てるように言った
「な…緊那羅はなぁっ!!;」
迦楼羅の態度にムッとした京助が大声を上げた
「このたわけ!!! 前が、栄野兄弟が今死んでは駄目なのだ! 日みたいな事がまた起こらぬとも限らん!! 実にお前等を守れなければ意味が無いのだ!」
京助の大声に負けじとも劣らない大声を迦楼羅があげた
「やかましいこの鳥類!」
それに対抗する京助

「落ち着いてくださいッ!」
口では丁寧口調で止めていても『テメェらええ加減にせんかい…ワレ』という最凶、最強オーラを全身にまとった乾闥婆の一声はまさに鶴の一声だった
乾闥婆の一声ですくみあがっていた迦楼羅がコホと咳を一つして京助を見た
「とにかく…だ。お前達兄弟は何としてでも【時】までに守らねばならないのだ…そして【時】が来たならば、更に守らなければならない…今はまだ早いが…なんだ…その…」
うまく言いたいことがまとまらないらしく迦楼羅の話はやたら間が多かった
「簡単に言うと貴方と弟さんを【時】がくるまでしっかりまもらないとってことです」
見るに見かねた乾闥婆が横から簡潔にまとめて話した
「…あのさぁ…【ソーマ】だの【時】だの…意味の分からない業界用語あるんスけど…」
頭を掻きなら恐る恐る聞いてきた京助にプチ切れかけた迦楼羅が
「【ソーマ】は【ソーマ】!! 【時】は【時】だ! たわけ!」
と怒鳴ると乾闥婆が迦楼羅を笑顔で睨む
「今の貴方はまだ多くを知らなくてもいいんです。むしろ知らないで下さい」
乾闥婆が立ち上がり服についた砂埃を払い京助に手を差し出した
どうやら立たせてくれるらしい
京助は乾闥婆の手をとって立ち上がった
「…てか俺本当少しどころか何も知らねぇから少しは知りたいんだけど」
「…知らないで下さいって言いませんでしたっけ?」
『少しは知りたい』そういった京助の手を乾闥婆が笑顔で凄い力を入れギリギリと握り返してきた
「…京助とやら…一つだけ教えてやろう」
その様子を見ていた迦楼羅が『ちょいちょい』と京助を招くとこう耳打ちした
「乾闥婆には逆らうな。乾闥婆を怒らせるな;」