ひとりぼっちの魔術師 *蒼の奇跡*
僕以外の誰かから聞いた、「誰かが綴った」過去。
君が拒否した、世界の破片。
ここは、君そのもの。
怖がりな君そのもの。
真っ暗な中で、埃だらけ。
光を求めているのに、光に目が向けられない。
-怖い。
-
この世界は、その叫び。
積まれた知識。
誰かの手によってしか見つけられないほどの膨大な量。
整理のつかない、そこかしこの思い。
僕は多分、鍵。
何となく、そう思った。
過去に聞いた世界を綴った歌。
自然と、僕の口を伝う。
君の涙が、強く流れる。
君の両腕が、僕の背中に伸びる。
-あったかいね。-
君が知った、「誰かの心で描かれた過去」は。
解き放てばいい。
紡いでいけば、きっと真実にたどり着く。
未来が導かれる。
爺さんは教えてくれなかったけれど。
未来へは、こうやって。
歩んでいくんだと思う。
-だけれど…僕には、そんな未来なんてあるの?-
ちくりと、真実の針は僕の胸を突く。
それでも。
君の世界の中では、こうやって。
僕が鍵で。
君がそれを使って。
未来へ、進めようとしている。
作品名:ひとりぼっちの魔術師 *蒼の奇跡* 作家名:くぼくろ