ひとりぼっちの魔術師 *蒼の奇跡*
七.出会う、君と僕
-初めまして、挨拶が遅れたね。
ここで出逢うのは初めてだけれど。
きっと昔。
きっと何処かで。
すれ違っていたはず。
「初めまして、…の君。」-
「やぁ、初めまして」
「こちらこそ、初めまして」
生まれ出でた所は違っても。
君と僕は同じ。
変わらない存在。
違うのは、歩んだ道。
感じたもの。
知りえた記憶。
抱かれた腕。
他にもあるだろう、軌跡の数々。
「やぁ、これからどうするんだい?」
「君も、どうするの?」
「決めてないよ」
「僕もだ」
二人揃って、肩をすくめる。
可笑しくなって、見合いながら笑いあう。
そして。
違いが生み出した、君の答え。
-蒼い君。
僕は、世界を壊そうと思うんだ。-
僕は、君の感じてきたものは知らない。
ただ。
君にとって。
世界はその程度のものでしかなかったのだと思うと。
寂しさとやらは、胸を去来する。
創り出されたものが導き出す、答え。
それは、僕たちの「人生」とやらの時計が動き出した証拠だった。
作品名:ひとりぼっちの魔術師 *蒼の奇跡* 作家名:くぼくろ