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CROSS 第13話 『帰投』

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 幻想共和国艦からの迎えのシャトルは、格納庫に停めてあった。大きさはエアリアルとほとんど変わらず、推進エンジンは2つついていた。デザインはシンプルで、ハッチは無く、左右にドアがあった。デザインは、昔のスタートレックに出てきそうな古くさいものだった……。
 山口はそのシャトルをぐるりと回りながら見ていた。
「量産できるようにしてあります」
山口の後ろで妖夢が得意気にそう言う。彼らには自信がある新兵器らしい。しかし、山口は、冷めた口調で、
「これでも遅れているほうだぞ。特にデザインが……」
そう言った。妖夢がむっと何か言おうとしたとき、シャトルのドアが開き、中からプリズムリバー三姉妹が出てきて、シャトルから降り立った。どうやら、今の会話を聞いていたようで、黒っぽい服を着た長女が、
「内部は快適」
そうつぶやいた。すると、次女と三女が、
「気持ちいいクッションがあるしね〜♪」
「外側も可愛くしたいな♪」
と、言いだした。うるさくなる前に、妖夢が静かにするように言った……。そして、山口のほうを向き、シャトルの中を指さし、
「そういうことは中を見てから言ってくださいね」
妖夢が得意気にそう言ったので、山口はシャトルの中に入ることにした。
 山口がシャトルの中に入る中、妖夢と三姉妹が顔を見合わせていた……。そして、妖夢は犬走椛に、シャトルの中に入るように言った。犬走椛は不思議そうな顔をしながら、山口に続いてシャトルの中に入った。



 シャトルの内部は、可愛いデザインになっており、座席はクッション付きで快適そうだった。確かに内部は、CROSSのエアリアルよりは、快適さの点で上だといえた。
 山口が見て回っていると、山口の背後から妖夢が、
「少佐さん。特殊ゴーグルを返します」
その言葉で、山口は特殊ゴーグルを妖夢に貸しっぱなしであることを思い出したようだ。
「ああ、そうだったな。忘れてたよ」
山口がそう言うと、妖夢のほうを向いた。彼女は特殊ゴーグルを両手に持っていた。山口はそれを受け取ると、ポケットにしまいだした。妖夢が三姉妹に何か合図を送っていた……。
「もう1つ、何か忘れていませんか?」
空気が変わったと、山口は気づいた……。それは、霊気が漂う冷たい空気だった……。犬走椛はブルルンと一回身震いした……。